令和5年3月10日(金)に、那珂川市立那珂川北中学校卒業証書授与式を行いました。1・2年生の生徒が素晴らしい会場と華やかな教室を準備してくれ、3年生はとてもすがすがしい表情で卒業式に臨むことができました。校長先生からの式辞では、『困難や苦しさに立ち向かってこそ成長できる。』という言葉をかけていただきました。また、卒業生代表の答辞では、前生徒会長の奥さんが、この3年間の思い出を振り返るとともに、同級生、先生、保護者への感謝の思いを述べてくれました。3年間の思い出がよみがえり、聞いていた卒業生や教師、保護者の方も涙を流していました。最後に、3年生全員で式歌を斉唱しました。これまで、音楽科の羽廣先生にも何度も指導していただき、練習してきた式歌を、気持ちを込めて歌っていました。3年生がすがすがしい表情で卒業できたのは、これまで、保護者の皆様、地域の方々の支えがあったからだと思います。本校の教育活動にご理解と多大なご支援をいただき、ありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いいたします。そして、卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。とても素直で、優しい皆さんと3年間、ともに過ごせたことをありがたく、また光栄に思います。本校を卒業していく169名のこれからを、離れていても応援しています。

【学校長式辞】

本日は、第19回卒業証書授与式に際しまして、ご多用のなか、来賓の皆様のご臨席を賜りまして、誠にありがとうございます。雪に耐えて、梅花うるわし。梅の花が、冬の厳しい寒さを乗り越え、ようやく見事な「満開の花」を、咲かせる季節となりました。

卒業生の皆さん、「卒業」おめでとうございます。

4年前に赴任したときに、私に与えられた使命は、この学校の立て直しです。具体的には、「学校の規律を回復させること」、「低迷している学力を向上させること」でした。皆さんのおかげで、もう十分すぎるくらいに、その使命を果たすことができました。卒業生の皆さんに大いに感謝するとともに、学校をよりよくするために尽力してくれた先輩たちや、卒業生の皆さんの後を追随し、勉強や運動に頑張ってくれている一・二年生の後輩たちにも大いに感謝したいと思います。

卒業生の皆さん、日々のサクセスノートや宿題、早朝からのランニングや筋トレ、本当にお疲れ様でした。そのほかにも、皆さんは、挨拶や時間厳守、学習態度など、学校のルールやマナーを守ることを鍛えられました。勉強や運動、学校行事などでは、自分の得意・不得意に関係なく、何事にも一生懸命に頑張ることを鍛えられました。また、お互いに高め合うような関係をつくることを鍛えられました。皆さんにとっては、きっと「苦労」したことや「困難」を伴うこともたくさんあったと思います。

しかしその結果、皆さんは成長し、多くの成果を手に入れることができました。学力面においては、県内でも学力が高いこの筑紫地区にあって、トップレベルまで成績を向上させることができました。すでに多くの人が進路実現を達成しており、あとは公立一般入試の結果を待つばかりです。また、運動面においては、全国の体力自慢の中学校4125校がエントリーした「毎日カップ」体力つくりコンテストで、全国第2位に相当する「毎日新聞社賞」を受賞するという快挙を成し遂げました。さらに、部活動においても、ハンドボール部が夏・秋連続の県大会3位を獲得し、吹奏楽部がアンサンブルコンテスト九州大会で「金賞」を獲得するなど、輝かしい成績を収めてくれました。

人生における「苦労」や「困難」とはか。それは、「不幸な出来事」ではありません。それらは、皆さんの可能性を引き出してくれるもの、また皆さんを成長へと導いてくれる「意味のある出来事」なのです。

現在、我が国では、新型コロナの分類もようやく第5類に引き下げられようとしています。しかし、会社の倒産や失業など、コロナによる経済損失は約30兆円以上に上ると推定され、そのダメージは計り知れません。また、約20年後には、働き手である15歳~64歳までの生産年齢人口が1500万人も減少するという大きな課題を抱えています。さらに、世界の情勢に目を転じれば、皆さんご存じのとおり大きな国際紛争が起こっており、いまだに解決の目処は立っていません。それどころか、さらに拡大する可能性さえあるのです。決して皆さんに「明るい未来が待っていますよ」とは、安易に言えない時代になってきました。

このような時代を生き抜いていく卒業生の皆さんは、今後も「苦労」や「困難」をものともせず、

  • 苦労や困難があるからこそ、人として成長することできる。
  • 苦労や困難があるからこそ、やりがいや生きがいを感じることができる。
  • 苦労や困難があるからこそ、人との絆を強くすることができる。

と考え、自らを鍛え、たくましく成長していってほしいと思います。皆さんが、未来を力強く切り開くとともに、よりよい社会の創り手になってくれることを心から願っています。

結びに、保護者の皆様に対しまして、簡略化した卒業式で大変申し訳なく思いますが、お子様の「卒業」を心よりお祝い申し上げる次第です。また、コロナ禍で計画通りにいかないことばかりでしたが、本校の教育に対しまして、ご理解・ご協力をいただきましたことに、厚くお礼申し上げます。保護者の皆様には、お子様の卒業後も、地域の一員として本校を見守っていただき、本校のなお一層の発展のために、ご支援を賜りますようにお願い申し上げ、式辞とさせていただきます。

令和5年3月10日

学校長 古澤 裕二

【答辞】

暖かい陽の光が降り注ぎ、桜の蕾も膨らみ始め、春の到来を感じる季節となりました。

 私達3年生169名は、今日この那珂川北中学校を卒業します。本日は、私達のために心温まる式を挙行してくださり、誠にありがとうございます。先生方をはじめ、来賓の皆様、保護者の皆様に見守られながら、晴れやかな気持ちで卒業できることを、卒業生一同心よりお礼を申し上げます。

思い返してみると、この3年間はあっという間に過ぎてしまいましたが、私達にとって、とても充実した、かけがいのない3年間でした。2年前の4月、新型コロナウイルスの影響により、私達の学年は入学式がなく、分散登校から始まりました。そして、初めて皆に出会えたのは5月の中旬。初めて中学校に登校してきた日、期待と不安に胸を弾ませ、恐る恐る正門をくぐったことが、昨日のように思い出されます。まだ着慣れないぶかぶかの制服、見慣れない校舎、教室から眺める景色、何もかもが新鮮で、今でも目を閉じれば鮮やかに蘇ってきます。

そのような中で過ごした1年間は、全てのことが初めてのことだらけでした。教科ごとに先生が変わることだったり、定期テストがあったり、部活動を始めたり、小学校とは違う一つ一つのことに戸惑いながら慣れることに必死でした。そのような中、楽しみにしていた「自然教室」は中止になり、様々な行事がなくなる中、唯一開催できた行事は「北風走」でした。朝のランニングや体育の授業で走ることはとても辛かったですが、一生懸命走る仲間のおかげでもう少し頑張ろうという勇気が湧き、最後までやり抜くことができた喜びは今でも忘れられません。また、「一生懸命に頑張ることがかっこいい」と素直に思えた瞬間でもありました。私達は、この行事を通して、信頼し合える集団として一歩成長できた気がしました。

2年生では、後輩が入学し、「先輩」と呼ばれる立場となりました。後輩の前で先輩としてお手本になることが求められるようになりました。特に、修学旅行では、那珂川北中学校の名を背負って行動することを心がけました。修学旅行を成功させようと、自分たちで予定を立て、各自の仕事に責任をもち、行動した班別行動。様々な出し物やゲームで盛り上がったレクレーション。皆と心の底から笑い合えた思い出は、一生の宝物です。

そして、3年生になり、最高学年として迎えたこの1年は、部活に、勉強に何事に対しても全力で取り組みました。今まで開催できなかった「体育会」「合唱コンクール」など様々な行事は、私達にとって、中学校生活で「初めて」であると同時に、「最後の行事」でもあり、どれも思いで深いものばかりです。

その中で、最も思い出に残っているのは、「進取果敢」のテーマのもと、仲間と挑んだ体育会。全員で初めての演技や種目に挑戦し、試行錯誤しながらも創り上げたときの達成感は何ものにも変えられません。休み時間や放課後の時間を使ってゼロから創り上げた集団行動、創作ダンス。あのとき、感じた胸の高鳴りは、今も熱く、熱く、残っています。

ですが、この体育会を成功させるために、苦しい思いもたくさんしてきました。初めてのことだらけで分からない中、3年生としての責任や重圧に焦り、何度も何度も壁にぶつかりました。閉会式で、実行委員長の桂田君が流した涙、また、上手くいかなくて、見えないところで何度も涙を流した人達。それでも諦めずにやり抜くことができたのは、支えてくれる「仲間」の存在があったからです。これから先、様々な出会いがあったとしても、このときの思いは決して忘れることはないでしょう。

今思い返すとこの3年間、仲間と多くのことに挑戦し続け、たくさんの経験を積みました。「笑い合ったこと」、「泣いたこと」、「苦しかったこと」、どんな時も側にいてくれたのは、ここにいる169名の「仲間達」です。この学年だったからこそ、壁にぶつかった時も互いに励まし合い、助け合いながら最後まで駆け抜けることができたのだと思います。私にとって、皆は最高の仲間です。私がここまで頑張れたのも、かけがいのない日々を過ごせたのも、全て皆のおかげです。本当にありがとう。皆と出会えて本当に良かった。心からそう思います。これから、それぞれ別々の道を歩んでいくけど、いつかまた皆と会えた時は、今までみたいに何気ない話をして笑い合おうね。

そして、今まで私達を支えてくださった「先生方」には、たくさんお世話になりました。先生方の温かい言葉は、私達の励みとなりました。時には、厳しい言葉を言われ、落ち込むこともありましたが、それは、「私達を強く信じていたからこそ、私達を正しい道に導くために言ってくださったのだ」と、卒業する今になってようやく分かってきました。様々な場面で私達のことを支えてくださり、ありがとうございました。

また、約15年間、私達を大切に育ててくれた家族。いつも心配かけて困らせたり、反抗的な態度をとったりしたこともありましたね。上手くいかないことがあった時に、心の中では「だめだ」と思っていながらも、行き場のない苛立ちをぶつけてしまうこともありました。しかし、それでも一番近くで支えてくれたのは、家族でした。受験や友達関係などで心が荒んだときに、悩みを聞いてくれた全てを受け止めてくれたことがどんなに心強かったか。あの時は素直に言えなかったけど、本当にありがとう。これからも迷惑をかけると思うけど、よろしくお願いします。

この3年間を通して、最高の仲間やたくさんの人に出会い、充実した中学校生活を送ることができました。この那珂川北中学校で共に過ごした3年間は一生の宝物です。そして、中学校で培った「どんな事にも挑戦し、最後までやり抜く心」をもち、これから自分の夢や目標に向かって一歩一歩「前進」していきます。

最後になりますが、これからの那珂川北中学校のご発展と、私達を支えてくださった全ての方へ感謝の気持ちを込めて、答辞とさせていただきます。

令和5年3月10日

那珂川北中学校 第19回卒業生代表 奥 彩華