筑前地区中学校体育連盟が発行していている機関誌に、全国大会出場を果たした剣道部のことが紹介されることになりました。剣道部を代表して柿元さんに執筆していただいたそうです。
その機関誌の発行を前に、原稿をいただきましたのでここで紹介させていただきます。
那珂川北中学校 剣道部・柿元選手

「もう一息」

那珂川北中学校 剣道部主将 柿元 冴月

 入学した頃の剣道部員は少なく、先輩方と出場した県大会も惜しいところでの敗退でした。「全国大会に行ってほしい」という引退した3年生の思いを受けて私たちは努力し、2年生の夏に初めて全中出場を果たすことができました。しかし、九州・全国の壁は厚く、私の不甲斐ない試合のせいもあり、目標達成できないまま「あと一歩」というところで終わりました。私たちは悔しさを胸に、足りなかったものは何かを考え、挨拶や掃除などから見直し、毎日の朝練や稽古にもさらに一生懸命取り組みました。
那珂川北中学校 女子剣道部
私は負けることが大嫌いです。何事も納得いくまでやり遂げないと気がすみません。ある日から誰よりも先にトイレ掃除をし、ランニングでは先頭を走り、毎回誰よりも早く面を着けて一番に先生にかかり、そして、部活動が終わっても誰よりも早く道場の稽古に行くなど、どんなに苦しくても「もう一息!」という気持ちで全力を尽くすことを心がけました。やがて目標は全中優勝となり、さらに部員一丸となって稽古に励みました。新人大会も勝ち進みましたが、努力とは裏腹に「あと一歩」というところでなかなか結果は出ませんでした。「果たしてこのまま自分は強くなれるのだろうか?」「なぜ勝てないのか。また負けたらどうしよう。」と悩んでばかりでした。でも迷っていてもだめなので、「自分らしく攻めの剣道をする」「絶対に逃げない!」と心に決め、そして、「足りないあと一歩」を克服するために、稽古では限界がきても「まだまだ、もう一息!」と根性で取り組んできました。
そして、3年生になり最後の中体連に臨みました。「負けられない」というプレッシャーが大変でしたが、接戦を制して二度目の九州・全中出場することができました。チームワークで九州を初制覇し、万全の状態で長野全中に乗り込みました。団体戦予選リーグで1勝し、次の試合に勝つか引き分けで決勝トーナメントに上がれる予定でした。前4人が引き分けで大将の私の出番となりました。絶対に逃げずに攻め続けると心に決めていましたが、「自分が一本取りに行くべきか、それとも自分の剣道を崩しても無難に守るべきか」と迷った瞬間に相手に隙をつかれて一本を取られてしまいました。そして数秒後に試合終了のブザーが鳴りました。私は頭が真っ白になりました。仲間が泣いているのを見て負けたことを実感しました。「私がみんなの夢をこわしてしまった・・・本当にごめんなさい」と、ずっと涙が止まりませんでした。最後の最後まで「あと一歩」でした。死ぬほど悔しい思いでしたが、これまで仲間と一緒に悔いの残らないほど努力してきたことは誇りに思うし、また、家族や先生の支えにも気づき感謝することができました。この悔しい経験は、私が乗り越えなければならない壁なのだと思います。3年間流しつづけた涙をいつの日か価値あるものに変えられるように、もっと努力をしなければなりません。叶えられなかった全国制覇の夢を高校で叶えるために、今日も「もう一息」の気持ちでがんばっていきます。

ちなみにタイトルの「もう一息」は、武者小路実篤の詩「もう一息」から来ているとのこと。この言葉は日常、顧問の小林先生が生徒に語っているそうです。剣道部は三年生の引退を記念して、この「もう一息」の詩と出場選手名を記載した手ぬぐいを作ったそうです。

那珂川北中学校 剣道部

もう一息
もう一息と言ふ処でくたばっては
何事もものにならない。

もう一息
それにうちかかってもう一息
それにも打ち克って
もう一息。

もう一息 もうだめだ
それをもう一息 勝利は大変だ

だがもう一息。

武者小路実篤「もう一息」

冬の朝 片縄山を朝日が照らし
霜の降りたグラウンドを
白い息をたて 柿元を先頭に
今日も部員たちが駆け抜ける
がんばれ 北中剣道部!

第四十六回全国中学校剣道大会
女子個人優勝 柿元冴月

第四十六回九州中学校剣道大会
女子団体優勝
柿元冴月 深江ゆい 深江まい
馬場絢菜 市川きらり 御手洗さくら
上田晴香 玉城嘉芳 荒田桜子
石橋香帆 神田光貴 原和樹

平成二十八年度
福岡県那珂川北中剣道部

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