「読書のすすめ」校長 平野 善浩
先日行われた文化発表会では、数々の生徒作品の展示、生徒や地域の方のステージ発表や合唱コンクールを実施することができました。特に合唱コンクールでは、生徒の全力で合唱する姿が見られました。生徒の「保護者の方々や地域の方々を感動させたい」という願いが伝わった文化発表会だったと思います。参観していただいた来賓や保護者の皆様、ありがとうございました。
秋と言えば「読書の秋」です。文化発表会1日目のステージ発表の「ブックプレゼン」で、各学年で勝ち上がった、3名の代表生徒が自分の「おすすめの本」を堂々と発表していました。「自分も読んでみたい・・」と思わせる工夫された発表でした。このような取組は、生徒達にとって、気持ちを本に向かわせるとても良いイベントだと思います。さて、本校では「晴動雨読」という取組をしています。晴れたときは体を動かしますが、雨の時は読書です。この時間で読書を身に付けることは一生の宝になります。
少し古い資料ですが、文化庁が2018年度に行った「国語に関する世論調査」によると、1カ月に1冊も本を読まないという人は、全体の約半数にのぼります。全国では、2人に1人は本を読む習慣がないというのが現状です。4月に行われた「全国学力・学習状況調査」の読書に関する「1日あたりどれくらいの時間読書をしますか(電子書籍の読書を含む。教科書や参考書、漫画や雑誌を除く)」との質問に対する本校生徒の回答は、「30分以上読書をする生徒」の割合は57.8%です。全国平均値の49.4%より約9%上回っています。また、「学校図書館や地域の図書館にどのくらい行きますか」との質問に対する本校生徒の回答は「月に1回以上行く」生徒の割合が51.4%です。全国平均の39.5%より10%近く上回っています。晴動雨読の取組や、図書館の充実したイベントが全国平均を上回っている要因かもしれません。この中学生までの時期に読書の習慣をつけるかそうでないかでは大きくこれからも人生も変わってくると思います。読書には次のような大きな効果があると言われています。
1 語彙力、文章力が養われる
2 教養や知識が身に付く
3 仕事に役立つ知恵を得られる
4 想像力が豊かになる
このように中学生に読書をすすめている私ですが、自分が中学生のころ、本を読んでいたかというと・・。まったくでした。本は読んでいましたが、少年ジャンプ系の漫画ばかり。シリーズものの漫画(キン肉マン等)を全巻そろえることに燃えており、小説はまったく読むことなく、夏休みの読書感想文の宿題があるので仕方なく読む程度でした。感想文の本を選ぶとき、カフカの「変身」がページも短くて良かろう、と思い読みました。しかし、青年がある朝起きると大きな虫に変身し、主人公が部屋にこもり長々と悩んでいる文章に自分の思考がついて行ける訳もなく、読書感想文を書くのにとても苦労しました。
本に目覚めたのは大学生のころです。きっかけは何か分かりませんが、夏目漱石の「こころ」を読み、なぜかその面白さにはまってしまいました。それから読書習慣が身についてきました。20代のころ、知り合いの友達だった作家の角田光代さんと一緒に飲む機会がありました。後に直木賞を受賞したり、たくさんの小説が映画化されたりするなど、すごい人になるとは知りませんでした。角田さんから「こんど書いた私の小説の表紙の撮影やるから一緒に写ってよ」と言われ、代々木公園で撮影会。私の体の一部が本当に表紙になりました。(右の写真 私がどこかにいます)もちろん自分が表紙になった本は読みますし、角田さんと知り合いになったことから、角田さんの小説を始め、様々な小説も読むようになりました。ちょっと話がそれてしまいました・・。
私は人生において身に付けて本当に良かったと思う習慣が2つあります。一つは「運動」そして二つ目が「読書」です。今でも毎月10冊ほどは読んでいます。読書することにより、語彙力はついたと思います。話すネタにもあまり困ることはありませんでした。本から学んだことは人生の難局を乗り越える際にかなり役立ちました。
本はネットでの文章と違い、多くの人が関わり、多くの目を通して一つの本ができるので、かなり内容が精錬されています。特に時代を超えて今でも読み継がれている本は、何百年という時代をこえて読み継がれていることもあり内容もとても参考になるものが多いです。
教育学者の森信三氏は「読書は心の食物」と言われています。食事は体の栄養を取ること、読書は心の食べ物と言うことです。何かを成し遂げた人は例に漏れずかなりの「読書家」です。本を読むことの楽しみを知ると、きっと人生が充実すると思います。
これからも、「晴動雨読」や図書館でのイベント活動などをとおして、これから生徒が少しでも読書に親しめるような取組を進めていきます。
第2回 CS推進委員会を開催しました。
26日(木)に第2回CS推進委員会が開かれました。CS推進委員会は各区長様においでいただき、部伍長・副部伍長の生徒達と地域ボランティア活動について案内していただいたり、ボランティア活動の打ち合わせをさせていただいたりしました。
今回は11月11日(土)に予定されている「地域清掃活動」や秋祭りなど後期の各地区のボランティア活動の打ち合わせでした。お忙しい中にもかかわらず、おいでいただいた区長の皆様ありがとうございました。11月11日は生徒が地域に出かけ、清掃活動などのボランティア活動をいたします。地域の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
第20回 文化発表会(10月19日~20日)
10月19日、20日に第20回文化発表会が行われました。今年度のスローガンは「感孚風動~絆の先にある感動~」です。「感孚風動」には人の心を感動させ、感化させるという意味があり、このスローガンには、合唱などを見に来てくださる保護者の方々や地域の方々を感動させたいという願いを実行委員の生徒達が込めてつくりました。
このスローガンのもと、一日目は、英語のスピーチ発表やブックプレゼン、地域の方の音楽の発表、そして「なきた塾」の成果の発表が行われました。英語のスピーチやブックプレゼンでは、全生徒を前にして、代表生徒の皆さんがすばらしいスピーチや本の紹介をしてくれました。また、2,3年生が6月から取り組んできた大人参加型授業「なきた塾」の成果を、詩吟コースやカラオケコース、ダンスコースの皆さんが発表してくれました。特に、詩吟コースでは、ゲストティーチャーの先生と一緒に練習してきた伝統芸能の詩吟を披露してくれました。
二日目には、合唱コンクールが行われ、今までの練習の成果を発表してくれました。9月から本格的なクラスの合唱練習を行ってきましたが、どのクラスでも、なかなか練習がうまくいかない時期を経て、日に日に練習に臨む姿勢がよくなったり、気持ちがそろってきたりしました。そして、合唱コンクール直前には美しいハーモニーが放課後の学校に響くようになりました。当日のコンクールでは、1,2年生はそれぞれの学年やクラスのカラーを出しながら、それぞれが作り上げてきた合唱を披露してくれました。特に、最後の合唱コンクールとなる3年生は素晴らしく、今までの那珂川北中の合唱コンクールの歴史のなかでも、一番のすばらしい合唱となったと思います。
今年度の文化発表会も、生徒による実行委員会が組織され、実行委員長の有川さんのリーダーシップのもと、合唱リーダー、展示発表実行委員、ステージ発表実行委員に分かれ、それぞれの準備や運営を生徒自身の手で行ってきました。合唱リーダー達は、日頃の合唱練習だけでなく、学年リハーサルの進行をつとめたり、展示実行委員達は各場所で行われる展示の準備を進めてきました。そしてステージ発表の実行委員は、めくりの作成やステージの準備、放送ボランティアは二日間の進行をつとめました。生徒による学校行事の運営を、体育会に引き続き行うことができ、那珂川北中の伝統になっています。実行委員の生徒の皆さん、本当にお疲れ様でした。
今まで築き上げてきたクラスや学年、学校の絆を文化発表会でも発揮し、全員が感動できた文化発表会になったと思います。3年生はいよいよ、進路選択そして卒業へ向けて頑張る時期に入ります。また、1,2年生は3年生を引き継ぎ、新しい那珂川北の歴史を作っていく代になります。それぞれ築き上げた絆を胸に、それぞれの目標に向かって高め合っていってほしいと思います。