「厳しさ」や「ストレス」は不要? 校長 平野 善浩

3月8日、本校で20回目となる卒業証書授与式が挙行され、183名が本校を巣立っていきました。新型コロナ感染症の制限もなくなり、今年度は多くの来賓の方も参加していただきました。来賓のかたから、卒業生の立派な姿にお褒めの言葉をいただきました。私も校長初年度にこのように立派に成長した生徒を送り出すことができ、本当にうれしく思いました。 本校での3年間は、生徒にとってはかなり「厳しい」ところもあったと思います。日々のサクセスノートや宿題、早朝からのランニングやトレーニング等、卒業生はよくがんばってくれました。その結果、学力面や体力面でも多くの成果を手に入れることができたと思います。きついことや、ストレスがかかることもあったと思いますが、それを乗り越えて得られた様々な力はきっとこれからの人生で役に立つことを信じています。

先日、<イチローも警鐘を鳴らした「大人に叱ってもらえない」Z世代が直面する「やさしさという残酷」>というネット記事を見ました。ちょっと長くなりますが、イチロー氏の言葉を引用します。

「今の時代、指導する側が厳しくできなくなってきた。僕が初めて高校野球の指導にいったのが2020年の秋、智弁和歌山だね。このときすでに智弁の中谷監督もそんなこと言ってた。部員に厳しくするのはなかなか難しい、と。でもこれは酷なことなのよ。高校生たちに自分たちに厳しくして自分たちで上手になれって、酷なことなんだけど、でも今そうなっちゃっているからね。(中略)でも生徒たちは、自分たちで厳しくするしかないんですよ。以前は、遊んでいても勝手に監督・コーチが厳しいから全然できないやつがあるところまでは上がってこられた。やんなきゃしょうがなくなるからね。でも、今は全然できない子は上げてもらえないから。上がってこられなくなっちゃう。それ自分でやらなきゃ。なかなかこれは大変」・・・と様変わりした現代では、選手がより自身を律することが求められる過酷さを指摘した〉(2023年11月6日、スポニチアネックス【イチロー氏 「指導する側が厳しくできない」時代の流れ 「酷だけれど…自分たちで厳しくするしか」】より引用)

時代の流れとして、「厳しい指導はもってのほか」という論調がありますが、イチロー氏は厳しくできないことは、生徒にとって「酷なこと」つまり残酷であると述べているのです。
高校野球の世界で言えば、たしかに昔あったような軍隊的な指導を受けずに済むことは、時代感覚のアップデートであるように見えるし、生徒たちにとってはとても良いことのような感じがします。しかし、そのような厳しい指導があった時代は、自分で自分を厳しく律することができない生徒(自分を甘やかして易きに流れるような生徒)でも厳しい大人の指導で、どうにか脱落することがなく、ある程度のレベルまで能力を高めることができたわけです。しかし、厳しい指導ができなくなると、「自分で自分を厳しくコントロールできない者は、だれからも指導されたり、矯正されたりすることがなく、そのまま放置される」わけです。その結果どうなるかというと、できる生徒は自分でどんどん力を高めていくことになり、できない生徒はずっとできない状態のまま放置されることになります。その結果、できる生徒とできない生徒の差が大きくなり「二極化」が大きく進みます。

自分に厳しくできない人やストレスに耐えられない人は、表面的には学校でも部活動でも会社でも、ストレスがないように「やさしく」扱われるように、快適な日々を送ることができるようになるけれども、タフな人たちに、経験値や成長度で大きな差をつけられることになります。「厳しい大人」と言うのは、若者を「一定のレベルまで引き上げることを、責任をもって保証してくれる人」です。自分の人生を振り返っても、厳しくされたが故に、できないことができるようになったという経験があります(当時は嫌で仕方なかったですが)。もしそのような「厳しい指導」や、「ストレス」が全くない生活を送っていたら、私自身まったく成長していなかったと思います。私の高校時代、地学の先生に「厳しさはやさしさだ!」とよく言われる先生がおられました。高校生の自分にとっては、「なんのこっちゃ」とその言葉の意味が分かりませんでしたが、今はその意味はよく分かります。先生は、私たちの成長を望んで、あえて厳しくされていたのだろうなと思います。それで生徒が成長できたのならそれは、先生が生徒のことをよく考えていてくれた「やさしさ」なんだったのだろうと後になり分かりました(厳しくするにもエネルギーがいります)。

生徒たちの成長のため、ある程度の「厳しさ」やストレスは必要なことだと考えます。もちろん、必要以上な厳しさや、理不尽な厳しさはあってはいけないものです。あくまでその生徒に応じた「厳しさ」や「ストレス」です。「やさしい」だけで子どもに好き勝手にさせたり、まったくストレスを与えなかったりする指導は、子ども達の成長の芽を摘む可能性があるということを、私達大人も良く心得ておく必要があると思います。

令和5年度が終わりました。教職員一同、全力で子ども達の成長のためにがんばってまいりましたが、不十分なことも多々あったと思います。今年度も本校の教育に対しまして、ご理解・ご協力をいただきましたことに、厚くお礼申し上げます。令和6年度も、生徒、職員一丸となって、さらにレベルアップした那珂川北中学校を創ってまいりますのでよろしくお願いいたします。

令和5年度 生徒総会

3月19日(火)に令和5年度の生徒総会が開かれました。生徒会総務をはじめ、各専門委員会より、委員会や活動について説明があった後、全校アンケートの結果に基づいた現状の分析から、来年度の活動方針や目指す姿、活動の内容が説明されました。各学級審議から出た質問の主なものに対して説明がなされた後、最後に全校生徒での採決を行い、来年度の活動方針が採択されました。

本校では「ネクストステージへ!」の合い言葉のもと、生徒会を始め、各学年・学級等でリーダーを育成し、生徒を主体とした集団づくりを通して、よりよい学校をつくることを目指しています。校長先生からも、「生徒総会とは、よい学校をつくるために、生徒が集まってこれからの活動について話し合ったり、意見を出し合ったりして、自主的に学校をよくするための取組を話し合う場である」とお話がありました。この生徒総会で提案されたことをもとに、生徒会活動を自分事と捉え、生徒の皆さんの力で、さらによりよい学校をつくっていってほしいと思います。

令和5年度 第20回卒業証書授与式

3月8日(金)、第20回卒業証書授与式が行われました。今年度は感染拡大防止の制限もとれ、多くのご来賓の方々をお招きしての卒業式を行うことができました。卒業生代表の答辞では、前生徒会長の金子優翔さんが、この3年間の思い出を振り返るとともに、同級生、先生、保護者への感謝の思いを述べてくれました。最後に3年生全員で合唱した式歌「友」では、3年生らしいすばらしい合唱を聴かせてくれました。今年度は、学級活動にも保護者の方々に入っていただくことができ、多くのクラスで保護者の方々への感謝の言葉も述べられていました。3年生が素敵な卒業式を迎えられたのも、これまで保護者の皆様、地域の方々の支えがあったからだと思います。本校の教育活動にご理解と多大なご支援をいただき、ありがとうございました。本校を巣立っていった卒業生の前には、素晴らしい未来が広がっています。この3年間の思い出を胸に、新しいステージでさらに飛躍してくれることを祈っています。ご卒業おめでとうございました!

第2回 エクササイズ教室

3月13日(水)1・2時間目にUNSボディメイクパーソナルトレーナーの小久保麻衣さんをお招きして、エクササイズ教室が行われました。6月のエクササイズ教室よりもレベルを上げた高強度のトレーニングでしたが、1年生も2年生も一生懸命頑張ってついていっていました。小久保さんからは、生徒たちの動きの吸収の早さをとても褒められていました。来年度も、様々な取組を通して体力向上に努めていきたいと思います。

 

 

 

 

第2回 エクササイズ教室

那珂川北中学校コミュニティ・スクール協議会でいただいた後期の学校評価をまとめました。重点目標である4つの項目(学力の向上、体力の向上、自己実現力の向上、社会貢献力の向上)に関して、4段階で評価していただいたところ、体力は前期よりポイントを伸ばしましたが、学力、自己実現力の項目ではポイントが下がってしまいました。しかしながら、毎日カップ全国3位を受賞したこと、立志式、出張授業、職業講話、接遇マナー講座などの様々な取り組みが行われていること、地域ボランティアに多くの生徒が参加していることが評価されました。

 

【学校評価における自由記述(抜粋)】

  • 学力について(3.4点)・色々な手法を用いてされていることに対して、1,2年生は伸びているが、3年生に対してはあまり向上しているとは思えない。努力している姿勢がみられるので、そのことは評価できると思う。来年は1,2年生が学力低下しないように頑張ってください。
  • 体力について(3.7点)・晴動雨読の取組は素晴らしいことなので、これからも読む力と動く力を続けてください。・入学後の体力増は、とてもすばらしいと思います。
  • 自己実現力(3.4点)・進路説明会や高校体験入学、卒業生講話等々によって、生徒たちの進路への意識が向上していると思います。さらにアンサンブルコンテストや青少年健全育成発表での表彰等々、また校内のマラソン大会や文化発表会等々で、それぞれ生徒が自らの関心にそって様々なチャレンジをする機会が設けられていることも自己実現力の向上に結びついていると思います。
  • 地域貢献力について(3.7点)・区の北中生徒さんとの顔合わせができることの大切さがわかり、安全、安心、環境に対する意識がでています。