「不登校の要因と対応」

校長 古澤 裕二

先日、第17回卒業証書授与式を行い、総計154名の生徒が卒業しました。コロナ禍で短時間の式でしたが、卒業生の呼名に対する返事や態度は大変立派でした。卒業生の皆さんの進路先での活躍を祈っています。

さて、今回は「不登校」について、お話ししたいと思います。不登校は、「年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」です。令和元年度の不登校児童生徒数は181,272人(小学校5,3350人、中学校127,922人)で、その主たる要因は、「無気力・不安39.9%」、「いじめを除く友人関係をめぐる問題15.1%」、「親子の関わり方10.2」の順に多いという結果です。実は、不登校と一言に言ってもその要因は様々で、そのことが不登校を語る際の難しさとなっています。因みに、文科省は、不登校を次の7つのタイプに分けています。

  1. 学校生活上の影響型:子ども同士や教職員との人間関係等
  2. 遊び・非行型:遊ぶためや非行グループに入る等
  3. 無気力型:なんとなく登校しない等
  4. 不安等の情緒的混乱型:登校したいが身体に不調が出る等
  5. 意図的な拒否型:学校に行く意義を認めない等
  6. 複合型:理由が複合していて主を決めがたい等
  7. その他:上記のいずれにも該当しない。

この中の「④不安等の情緒的混乱型」には、小学校低学年でよく見られる「母子分離不安によるもの」、親の強い期待に押しつぶされる「息切れによるもの」、自立心が育っていない「甘やかされによるもの」、家庭内のトラブルや生活環境の激変等の「生活基盤の不安定によるもの」などが含まれています。

私自身も、初任校で「甘やかされ」タイプの生徒を担任し、対応に苦慮したことがありました。その生徒は、入学して間もなく登校時に体調不良を訴えるようになりましたが、特に理由はないと繰り返すばかりです。対応に悩みつつカウンセリングの場を設けたところ、両親が共働き(父親は単身赴任)であること、おばあちゃん子で小5まで同じ布団で寝ていたこと、いい子で3歳頃の反抗期もなかったこと等、様々なことがわかりました。カウンセラー曰く、おばあちゃんが手をかけすぎて自立心が育っていないため、集団になじめないとのことでした。「温室の花が外に出され、周りのたくましい草花に栄養を取られて生き辛いのだ」と表現されたのを覚えています。また、「反抗期」とは子どもにとっては「自立期」であって、通常あるべき「反抗期」がないこと自体がすでに不登校の兆候を示していたとも話されました。そして、母親に子どもの自立心を取り戻すように具体的なアドバイスをされ、生徒は約1年後にようやく学校復帰を果たしました。

不登校については、人と違った生き方もあるからよいではないかという意見もありますが、本当にそうでしょうか? と言うのも、全国の「引きこもり」は40歳未満が51.4万人(H27調査)、40歳以上が61.3万人(H30調査)もいます。そのうち3人に1人は小・中学校で不登校の経験があります。将来、「引きこもり」につながないように、それぞれの不登校の要因にあった対応を行うことがとても大事なことだと思います。また、今日では不登校の進路先についても、選択肢が随分増えています。

そこで、不登校を未然に防ぐための方策について、一概には言えませんが(特に発達障害の自閉傾向のお子さんには③はあてはまりません)、基本的なことを3つ挙げたいと思います。

1、基本的な生活習慣を確立する。

基本的な生活習慣を確立することによって、朝起きたときエネルギーが湧いてきます。不登校になると昼夜逆転することが多く、不登校をさらに悪化させています。また、日光を浴び、リズミカルな運動を行い、朝食をとる際によく咀嚼する(噛む)と、脳内でセロトニンが分泌され精神が安定します。

2、自立心を育む。

小さい頃から、子ども自身で小さなハードル(困難)を乗り越えさせ、しだいに大きなハードルを乗り越える成功体験を重ねさせることが大切です。周りの大人が予めハードルを取り除いてあげれば、自立心は育ちません。そのため、父性と母性のバランス(実際の父母の有無ではありません)が大切です。父性とは「厳しさ」「鍛える」、母性とは「優しさ」「慈しみ」を意味します。

3、複雑な人間関係の中で揉まれる経験をさせる。

一昔前には、地域の異学年集団で遊ぶ中で、「耐性」や「社会性」、「対人関係能力」を自然に身に付けることができましたが、そういう社会環境がなくなってしまいました。そのため、不登校は誰にでも起こりえることだと言えます。そこで、意図的に「複雑な人間関係の中で揉まれる状況」を学校や周りの大人が工夫してつくってやる必要があります。しかも、脳には臨界期(能力を身に付ける適切な時期)があって、これらの力は9歳頃までに身に付けなければ、その後はなかなか身につきません。

今年度、本校における不登校は44名(うち復帰は15名)です。中学校で不登校数が跳ね上がるため、不登校の要因として中学校生活や直近の出来事に目が行きがちですが、実はそれ以前に要因がある場合も多く見受けられます。そのため、中学校での不登校対応はどうしても対処療法的になりがちですが、今後も、「SCやSSWなどの専門家や小学校、関係機関等との連携」「校内サポートルームの支援」「仲間づくりの取組」「運動の効果的な活用」等を充実させていきたいと思います。

晴動雨読 最後までがんばりました!

後期より始まった晴動雨読。朝の10分間に運動することが習慣になってきたのではないでしょうか。ランニングでは、以前と比べてペースが上がってきました。各自の体力に応じてしっかりと追い込んでいる姿が見られるようになりました。体育館でのトレーニングも、新しい方法を取り入れています。20秒運動して10秒休憩を繰り返しトレーニングする方法(タバタ式トレーニング)をしています。YouTubeでもたくさん動画がアップロードされています。生徒は、筋肉ムキムキのインストラクターの動画を見ながら、しっかりと補強運動に励んでいます。筋力を付けると基礎代謝も上がり、太りにくい体質になってきます。この晴動雨読で「運動する習慣」を是非身につけてほしいと思います。 (下の写真)トレーニングに励む生徒

3年生立派に巣立って行きました(卒業式)

3月12日(金)、第17回卒業証書授与式を開催しました。コロナ禍で簡略化した式でしたが、来賓の皆様と多くの保護者の皆さんにご臨席いただきありがとうございました。厳粛な雰囲気の中、担任の呼名に対して卒業生の元気な返事が響きわたり、大変立派な卒業式でした。卒業生の皆さん、3年間お疲れさまでした。

答辞」<途中抜粋>

 卒業生代表 佐野木 菜生

・・・修学旅行から帰ってきて一週間後。一斉休校となり、体育祭どころか、共に学ぶことすらできなくなりました。その後も制限された生活が続き、最後の一年は思い描いていたものとは程遠いものとなりました。私は、みんなと共に過ごせるはずだった約三ヵ月を失い、とても寂しかったです。しかし、その期間があったからこそ、学校再開後は、授業での活動や休み時間の会話など、日常の何気ない一幕や入試に向かってお互いに高め合い、励まし合う姿など、みんなと過ごした時間がより鮮明に思い出されます。今、こうしてみんなで卒業を迎えられることを改めて嬉しく思います。

そして、私たちがここまで来ることができたのは、たくさんの方々の支えがあってのことです。先生方、勉強だけでなく、様々な面で私たちを支えてくださいました。きっと悲しませたことも、何度もあったことでしょう。それでも諦めずに熱い思いをもって指導してくださったこと、心から感謝しています。先生方が教えてくださった「努力することの大切さ」や「当たり前のことを当たり前にする」ということを忘れず、これからも歩んでいきます。それから家族のみんな、いつもそばで支え、応援してくれてありがとうございました。これからは、自分で決めた道をしっかりと歩んでいきたいと思います。

そして在校生のみんな、あまり良いお手本にはなれなかったかもしれないけれど、これまでついてきてくれて、様々な面で支えてくれて、本当にありがとう。今、この場で直接伝えられないのが本当に残念だけれど、みんなは、これからの那北を安心して任せられる、立派な後輩です。みんなで力を合わせて、より良い那北を創ってください。

この那珂川北中学校の思い出は、私たちの糧となるはずです。他愛のない話をしたり、些細なことで喧嘩したりし、それでも励まし合い、支え合ってきた仲間との三年間。那珂川北中学校への感謝を胸に、仲間と培ってきた経験を翼に、私たちは次なる舞台へ飛び立ちます。

令和2年度最後の那北中コミュニティ協議会

3月18日(木)に令和2年度第4回那珂川北中学校コミュニティ協議会(学校運営協議会)を実施しました。参加者は次の通りです。

  • 福岡女学院大学の伊藤文一教授
  • 校区12行政区の区長さん
  • 片縄小学校の石松校長先生
  • 岩戸北小学校の上野校長先生
  • 本校元PTA会長の日高さん
  • 本校元副会長の橋本さん
  • 那珂川市教育委員会の隅指導主事

出席者の方々と授業を参観しましたが、参観した方々からは、『真剣な表情で授業を受けている。』『授業を受ける生徒の姿勢が素晴らしい。』といった言葉をいただきました。その後、多目的ホールで、2月に行った後期学校関係者評価の結果や重点目標の達成に向けた取組、成果と課題を学校側から報告しました。重点目標に対する評価は次の通りでした。

○ 学力

  • ノーメディアDAYの取り組みが、学力向上につながっている。
  • 1年生の学力の伸びは、小学校との連携も大切にされているからではないか。
  • 偏差値の数値には直接表れていなくても、生徒による授業評価を見ると、先生と生徒の関係性も良い方向に向かっている。

○ 体力

  • 体力テストにおいて、大幅な伸びを感じた。これは日頃の晴動雨読などの取り組みの成果だと思う。
  • 体力と学力は車の両輪。体力アップは学力アップにもつながっている。

○ 自己実現力

  • 特に3年生はこの先の進路について考えており、自己実現力の伸びが大きく、意識も向上している。
  • 今回の身近な先輩や、高校の先生方の講話は、生徒たちにとって、大きな知力になったと思う。
  • 卒業生に学ぶ講演会等は今後も続けてください。

○ 社会貢献力

  • コロナ禍のため、様々なことで制限がある中、(校内ボランティアなど)できることを探して取り組む姿は素晴らしい。
  • 思うような活動はできなかったと思うが、校内ボランティア活動などで意識付けはできたと思う。

○ その他

  • 校内を見学して思ったことは、きれいで清潔感があった。
  • コロナ禍における差別等の問題にご指導よろしくお願いします。

4・5月の主な行事 学校からのお知らせ

※4・5月の主な行事につきましては、HPトップページでご確認下さい。

【令和3年度入学式について】

新型コロナ感染症拡大の防止のため、入学式の実施にあたっては、時間の短縮、参加者の制限等の措置をとらせていただき実施いたします。何卒ご理解・ご協力の程よろしくお願いいたします。

  1. 参加者の数を最小限とし規模を縮小、時間短縮で実施
  2. 来賓は那珂川市教育委員会、学校運営協議会、PTAから1名ずつとする。
  3. 保護者の参加は、2名までとする。
  4. 在校生は入学式には参加しない。