「ネット依存」

校長 古澤 裕二

先日の体育会開催時には、保護者の皆様にご参観いただきありがとうございました。体育会当日の生き生きした生徒の姿や練習期間を通して成長した生徒の姿を見ることができ、改めて学校行事の大切さを感じました。このあと、生徒の皆さんには、中間考査や中体連大会へと意識を切り替えて、体育会と同様に頑張ってほしいと思います。

さて、先日各学年で「ネット依存」に関する調査を行いました。この調査は、一昨年度保護者から、オンラインゲームを無理に止めさせたところ、子どもが家で暴れるという相談を受けたことをきっかけに始めたものです。調査の内容は、神奈川県にある久里浜医療センターが利用している「インターネット依存度テスト」を参考にしたものです(※調査内容はこの記事の最後に掲載)。結果を点数化し、点数が高ければ「問題ユーザー」、さらに高ければ「治療を要するユーザー」となります。グラフはその調査結果で、大変危惧しているところです。全体的に「問題ユーザー」が多く、学年が上がるに従って増加傾向にあります。また、1年生の「問題ユーザー」や「治療を要するユーザー」が多いことがわかります。尚、「治療を要するユーザー」となった生徒の家庭には、連絡しています。

ネット依存は、インターネット依存とゲーム依存、その両方の要素を併せ持つインターネットゲーム(オンラインゲーム、ネトゲ)依存のことを指します。我が国のネット依存は、子どもと成人を合わせると500万人以上と言われ(2014)、増加の傾向にあります。今日、ネット依存は、コカインや大麻、覚醒剤、ヘロイン等の麻薬中毒と同じように、大脳の神経ネットワークそのものの変質や脳の萎縮が起こるとされ、強い警鐘が鳴らされています。決して大げさな話ではありません。その症状は、「他人の気持ちへの無関心」「冷淡」「うつ状態」「情緒不安定」「危険への鈍感さ」「自殺念慮」「注意力の低下」「処理速度の低下」等々として現れます。特に、脳の発達途上である子どもには悪影響を及ぼし、親がネットを無理に制限すれば子どもが家で暴れたり親に暴力を振るったりするケースも、今や決して珍しいことではありません。また、近年ネット依存によって、幼少期には問題がなかった子どもが、青年期以降に発達障害に似た症状が出ることも報告されています。

2019年には世界保健機関(WHO)が「ゲーム障害」を新たな国際疾病分類として認定しています。ネット依存が高い国は、韓国や中国、日本などの東アジア、アメリカ、イギリス、ノルウェーなどです。韓国や中国では大きな社会問題となっており、国が中心となって予防のための教育プログラムや治療マニュアルの開発、ネットアクセスの規制(時間制限、身分証明)などの対策が取られています。日本の12歳~18歳までのオンライン利用率は、すでに2014年段階で韓国や中国を上回り、アジアでトップとなっていますが、不思議とそれほど深刻な問題とは受け取られていません。その理由は、日本ではゲーム産業が大きな力をもっているからだという指摘があります。

ネット依存が生じるメカニズムには、脳内物質「ドーパミン」が関係しています。「ドーパミン」は、「快感や幸福感を得る」「意欲が高まる」等の機能を担う脳内ホルモンです。人は胸をときめかすような刺激を感じると脳内で「ドーパミン」が放出されます。ネットによる刺激を頻繁に味わうと耐性が生じて、同じ満足を得るためにもっともっと長時間、もっともっと強い刺激を求め続けるようになってしまいます。最終的には、その刺激がないと生きられないと感じ、依存傾向が強くなります。もともと脳内物質「ドーパミン」の役割は、「達成感」を味わったときに放出されることで、嫌なことや目先の欲望にも負けずに、もっと大切な目標達成に向かって努力する生き方を可能にするものなのですが・・・。

お子さんがネット依存(全ての依存症)に陥らないためには、「勤勉さ(自制心)」という大切な価値観を育てることが重要です。これは、「やりたくなくてもやるべきことはやる」「やってはいけないことはやらない」という自分の欲求を制御する能力です。さらに言うと、短期的には苦労だが長期的には報われそうな行為に励むこと、短期的には快楽だが長期的には自分を損なう行為を慎むことです。それができたときに、周りの大人が評価してあげることによって習慣化していきます。専門家の方が、「小さい頃から勤勉な習慣と価値観を身に付けさせることは、子どもに一生の宝を与えることになる」と述べています。また、お子さんにネット依存の兆候がある場合には、「今の状態のままで本当によいのか」ということを親子で話し合ってみてください。ネット依存の根っこの部分には、学業不振や人間関係のトラブル、家庭環境といった別の問題があることが多く、その問題を解決することが大切です。同時に、親子が対立関係になるのではなく、協力関係を築いて問題を克服していくことが大切です。学級担任や学年主任に相談していただければ、専門家へとつなげますのでお気軽にご相談ください。

※参考引用文献:「インターネット・ゲーム依存症」岡田尊司著 文春新書

※ネット依存調査の内容

4月学力診断テストの結果

4月12日(火)に行われた、学力診断テストの結果をお知らせします。

1年生の偏差値は「51」と福岡県の平均をかろうじて上回っていますが、筑紫地区においては下位であると考えられます。英語は県平均よりマイナスになっています。しかし、ここからが始まりです。今の2年生も昨年度同じくらいの成績から始まり、随分向上しています。日々学力向上の取組を行っているので、継続して努力していけば「必ず成績は伸びる」と信じて頑張ってほしいと思います。

2年生の偏差値は「54」です。2月の成績では「56」でしたので、2ポイント下がってしまいました。3年生の偏差値は「56」です。2月のテストでは「58」でしたので、2年生と同様、2ポイント下がっています。次回に期待したいと思います。

次回は、8月課題テストです(3年生のみ6月学力診断テスト実施)。今年度の目標「筑紫地区1番」の実現を目指し、教師、生徒ともにさらに学力向上の取組をさらに進めていきます。

第19回体育会の開催

5月15日(日)、第19回体育会を開催しました。体育会スローガンは、「進取果敢~一人一人が輝き、成長できる最高の体育会へ~」です。12日間の体育会練習期間を経て、本番を迎えました。3年ぶりの体育会ということでうまくいかないことも多く、雨天による室内練習も少なくありませんでした。また、1年生は中学校に入学したばかりで小学校との違いに大いに戸惑ったのではないでしょうか。それでも、生徒に皆さんはブロックごとによく団結して、頑張る姿が見受けられました。練習期間を通じて、体育会実行委員や各ブロック長などリーダーの皆さんをはじめ、個々の生徒の成長を大いに感じることができる体育会でした。体育会終了時には、きっと多くの生徒が大きな達成感や感動を味わってくれたと思います。改めて「学校行事」の大切さを痛感させられた体育会でしたが、生徒の皆さんはこの経験を今後の学習や部活動等にも活かし、新たな目標へ向かって一生懸命に努力していってほしいと思います。お疲れ様でした。また、ご参観いただいた保護者の皆様、コロナ禍での観戦となり、ご迷惑をかけたところもあると思いますが、ご理解とご協力ありがとうございました。

【総合の部】 優勝:緑ブロック、準優勝:黄ブロック

【集団演技の部(男子)】 最優秀賞:赤ブロック、優秀賞:青ブロック

【集団演技の部(女子)】 最優秀賞:青ブロック、優秀賞:赤ブロック

【バックボードの部】 最優秀賞:赤ブロック、優秀賞:緑ブロック

第1回部伍会の開催

5月24日(火)に第1回部伍会を行いました。本校では、コミュニティ・スクールの取組として、社会貢献力の向上のために、生徒が地域行事に参加し、地域貢献活動を実施していきます。そのための地域ごとの生徒の集まりを部伍会と呼びます。その第1回目が行われました。安武先生から部伍会の目的について、プレゼンで説明が行われたあと、各部伍長(3年生)の紹介が行われました。その後、各部伍に分かれ顔合わせと1,2年生の代表決めを行いました。今後、7月に各区長さん達をお迎えし「那北中コミュニティ推進委員会」と呼ぶ、具体的な打ち合わせの会を開催します。その会のなかで、各区長さん達から夏祭りなどの地域行事に関するボランティア活動の要望をお聞きし、部伍会で参加者を募っていく予定です。これまでコロナ禍でできなかった取組を復活させ、地域に貢献していきたいと思います。

大人参加型授業「なきた塾」オリエンテーション

26日(木)に大人参加型授業「なきた塾」オリエンテーションが行われました。これもコミュニティ・スクールの取組ですが、コロナの感染が落ち着いてきたため今年度は実施することになりました。「なきた塾」は、次のような3つの特徴をもった学習です。①17講座(「写真講座」がなくなりました)を開設し、2・3年生が興味・関心がある講座を選択し、異学年集団で学びます。②地域の方や保護者が、ゲストティーチャーや生徒とともに学ぶ学習者として本校の教育活動に参加していただく、「大人参加型授業」です。③通常授業は45分ですが、「なきた塾」は1時間で行います。今後、大学生の参加も予定されています。

オリエンテーションでは、講座を担当する先生方からそれぞれの講座について説明があり、生徒の皆さんは興味津々に説明を聞いていました。その後、教室で希望講座を記入しました。

6月・7月の主な行事 学校からのお知らせ

※6月・7月の主な行事は、HPのトップページでご確認ください。

※授業参観・学級懇談の開催:6月に授業参観と学級懇談を予定しております。新型コロナウィルス感染症対策のため、催日時をクラスごと分散して行う予定です。スケジュールが決まり次第お知らせいたします。