「ストレスは人を成長させる」

校長 古澤 裕二

4月8日に入学式を迎え、173名の新入生が入学してきました。全校生徒525名全員が揃い、新年度が本格的にスタートしました。また、今月25日から体育会に向けた全体練習が始まっています。1年生にとっては、きっと小・中学校の大きなギャップを痛感するとともに、ストレスも急増しているのではないでしょうか。さっそく練習初日に、体操服・帽子等の忘れ物が1年生を中心に22名もいて、実行委員の先輩や学年の先生から指導を受けていました。

さて、臨床心理士の芳川玲子さんによると、「友だちとのちょっとしたトラブルに深く傷つく、教師が少し大きな声で注意しただけで萎縮してしまう、といった『ストレス耐性』が極端に低い子どもたちが増加している」そうです。その一因は、一時流行った「褒める教育(叱らない教育)」や過保護・過干渉・放任といった「バランスを欠いた養育」だと述べています。それに加えて、昔みたいに地域の異学年集団の中で揉まれる経験がなくなったこと、小学校で先生方から叱られる経験が減ったこと、などもその一因だと考えます。

一方、子どもたちは大人になれば、「ストレス社会」に飛び込まなければなりません。「労働安全衛生調査(2018年)」によると、「仕事で強いストレスを感じている労働者」は全労働者のうち58%だそうです。また、大人でも年々ストレスに強い人と弱い人との二極化が進んでいるそうです。このように社会に出れば、多くの人がストレスを感じながら働かなければなりませんし、その人のストレス耐性が仕事における成功をも左右しそうです。

そもそもストレスを感じることは悪いことなのでしょうか? 随分前の話ですが、2005年「ギャラップ世論調査」という、121カ国、15歳以上の12万5000人を対象とした、ストレス等に関する調査が行われました(調査は毎年行われ、2020年はコロナの影響でストレスが最も多い年だったそうです)。その結果、意外なことがわかります。それは、ストレスが多い人ほど人生に大きな意義や生きがいを感じていること、またストレスが多い国ほど生活水準やGDP、幸福度、平均寿命などが高いこと、です。したがって、ストレスは、人生がうまくいっていないことを示しているのではなく、大事な仕事や人間関係にどれだけ熱心に取り組んでいるかを示すバロメーターであると結論づけています。熱心に目標に向かって努力する過程では、ストレスは避けられないものなのです。むしろ、人はストレスがなくなった時のほうがリスクが大きく、人が退職後にうつ病になるリスクは40%だそうです。

加えて、ストレスを経験し乗り越えていくことで、「ストレス耐性」を高めることもできます。ストレスは、一旦脳に刻まれることで、次に同様のストレスを感じたときにうまく対処できるようになるのです。そのため、宇宙飛行士や救急隊員、トップスリートをはじめ強度のストレス下で任務を果たさなければならない仕事を行う人たちは、強いストレスを受けること自体を重要なトレーニングと考え日々実践しています。したがって、「ストレスの強弱」は、常に個人個人の「ストレス耐性」との関係で論じられなければなりません。端から見ると、強いストレスがかかってかわいそうだと思える人でも、当人のストレス耐性が高ければさほど問題ではないのです。

以上のことから、子どもの将来を考えるなら、適度なストレスを経験させることによって、「ストレス耐性」を高めてやることが大切です。その経験が、精神的なたくましさや自立する力へとつながります。ストレスは、子どもが成長するための糧なのです。そこで、周りの大人は、ストレスは「成長にとって役立つもの」という前向きのメッセージを子どもに送ってやることが大切です。最新の研究では、ストレスに対してプラスの捉え方をした場合には、副腎から脳の成長を促すホルモンが多く分泌されることがわかっています。逆に、ストレスは「悪いもの」と捉えた場合、健康を害するなどマイナスに作用することが多くなります。

今後、体育会練習が本格化する中、よい結果を得ようと一生懸命に頑張ったり、逆に先輩や先生から指導されたりすることで、子どもたちのストレスもさらに増えることでしょう。家庭で愚痴を言ったり不機嫌になったりすることもあるかもしれませんが、人はそうやって成長していくものだということを伝えていただき、見守ってあげてください。きっとお子さんは体育会を通じて、大きく成長すると思います。万一、お子さんにとって負担が大き過ぎると感じられる場合には、学級担任や学年主任にご相談ください。

※参考文献:「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」

体育会に向けて!

4月25日に体育会へ向けての結団式を行いました。今年の体育会スローガンは「進取果敢」自ら進んで積極的に物事に取組、強い決断力を持って、勇敢に新しいことに挑戦していくということ)、サブテーマは一人一人が輝き、成長できる最高の体育会へ」です。体育会実行委員長の桂田拓海君の挨拶のあと、各ブロックに分かれて結団式がありました。運動や集団行動が苦手な生徒の皆さんも、何事にも一生懸命に取り組み、体育会が終わった時全生徒が充実感を感じ、そして涙を流すような体育会にしてほしいと思います。

那北中CS協議会が行われました

4月22日(金)に第1回那北中CS協議会(学校運営協議会)が開催されました。校内見学の後、校長より今年度の学校経営方針や重点目標など、教務主幹より4月に行われた学校行事の説明をそれぞれ行いました。その後の質疑の中では、以下のような質問や意見をいただきました。

  • 3年生の保健体育の授業の際、教室に脱いでいる制服のほとんどがきちんと折りたたまれていた。
  • 朝の登校時中学生が元気に挨拶をしてくれる。
  • 小学生と中学生が登校時にすれ違う際、中学生が広がって歩いているので、1列か2列になって小学生が通れるようにしてほしい(要改善)

最後に福岡女学院大学教授の松崎保弘先生より以下のようにまとめをしていただきました。

  • 偏差値を1年間で5ポイントも上昇させるのは、普通あり得ないことであり、それがこの那珂川北中学校では実現しているのですばらしい。
  • 前任の関西で訪れた学校では、学習規律が全くなってなかったり、校舎全体のガラスが割られたり、休み時間には先生たちが、生徒が校舎外に出ないように目を光らせながら廊下などで事務作業をしていた。この学校を見て、最初は信じられなかった。那珂川北中は落ち着いた環境の中で生徒が着実に力を伸ばしている。

区長様からは、今年度から、地域の行事も復活するとのことで、本校の生徒も地域に出て行く機会が増えていくと思います。今年度はさらに地域の方々と連携して子どもたちの人間力を育んでいきたいと思います。

1年生 キャリアアップ週間の取組

毎年、小学校の既習内容を理解できていない1年生も少なくありません。そこで、入学早々に「キャリアアップ週間」の取組を行いました。内容は「学びナビ」や「小学校の復習」、「高校による講演会」等で、家庭学習の方法を学んだり小学校の既習内容を復習したり、将来の生き方や進路に関するモチベーションを高めたりすることを目的とした取組です。実際の「学力」や「学習に向かう力」は、将来を展望する「自己実現力」と密接な関係があるため、幅広い取組が必要です。

【学びナビ】

効果的な学習の仕方を学ぶ学年集会を「学びナビ」と呼びます。1年生は、4月14日1限目に「学びナビ」を行いました(2・3年生も別日に実施)。学習担当の先生から、学習方法についての話がありました。具体的な内容は、脳科学に基づく学習方法やサクセスノートの有効な使い方についてです。

【小学校の復習】       

4月18日から3日間、小学校での国語・算数・英語の既習内容を授業で復習しました。その際、3年生の先輩方が毎日1年生の教室に教えに来てくれました。1年生は、わからないところを3年生に教えてもらい、大変喜んでいました。

【高校による講演会】

4月21日5限目、博多高校の先生による講演会を行いました。終了後の1年生の感想を読んで見ると、「感動した」「やる気が湧いた」といった感想が多く、随分将来の生き方や進路、学習に対するモチベーションが上がったようです。

5月・6月の主な行事 学校からのお知らせ

※「5月・6月の主な行事」は、TOPページの「今後のスケジュール」でご確認ください。

※学校からのお知らせ

【令和4年度 第19回体育会について】

  • 本年度は新型コロナウィルス感染症対策を講じながら開催します。詳しくは、本日配付しております「体育会参観についてのお願い」をご参照ください。

【授業参観について】

  • 授業参観を6月に予定しております。新型コロナウィルス感染症対策のため、クラスごと分散して行う予定です。授業参観スケジュールが決まりましたら、5月中頃までにお知らせします。