「クラスター発生の経緯と今後の対応」
校長 古澤 裕二
生徒の皆さんや保護者の皆さんには、クラスター発生とそれに伴う臨時休校や検査(正確にはPCR検査ではなく抗原定量検査だそうです)、学級閉鎖等の対応により、大変なご迷惑やご心配をおかけして申し訳ありませんでした。また、このクラスター発生に伴って、多くの生徒が中体連大会へ出場できなくなり、生徒も保護者も大変落胆されていることと思います。さらに、本校が中体連大会の女子バレーボール会場になっていましたが、突然の会場変更や棄権によって、筑紫地区内中学校や中体連事務局にも大変な迷惑をかけてしまいました。今回のクラスター発生の経緯と今後の対応について、ご説明したいと思います。
まず、6月22日(火)夕方18時頃、部活動の外部コーチから新型コロナウイルスの「陽性」と判定されたという電話連絡が入りました。ここから、筑紫保健所と市教委と連携を取りながら、主に保健所の指示に従って対応していくこととなります。外部コーチの方は、6月19日(土)午前中部活動指導を行っていましたが、指導中は終始マスクを着用しており、部員全員と顧問は「濃厚接触者」ではなく「その他の接触者」ということで、翌日23日(水)に検査を受けることになりました。部員全員と顧問は時間をずらして登校し、検査後すぐに帰宅しています。保健所の方はあくまで念のための検査という認識でしたが、午後に保健所から部員中8人に「陽性」判定がでたという連絡が学校に入りました。「陽性者」の8人は全学年にまたがっており、保健所と協議のうえ急遽「臨時休校」とし、生徒に全校放送で周知するとともに保護者宛の「臨時休校」のお知らせを持たせて一斉下校させました。その後、保健所からの要請で、検査対象を絞り込むための情報提供を行っていきました。各クラスの座席表や出席状況、時間割、授業内容、学習形態、体育会練習の内容・整列順等々です。何十回も学校に問い合わせがあり、その都度メールやFAXで対応していきました。また、保健所も、陽性者へ直接聞き取りを行ったようです。今回の感染源については、未だに不明だということです。この日最終的には、翌日に全校生徒の約半数と教職員が検査を行うことになり、午後22時頃に翌日の検査キットを教頭先生が受け取りに保健所まで行きました。
翌24日(木)、早朝から全校生徒の約半数について検査を実施し、その結果新たに6人が「陽性」と判定されました。「陽性者」は夕方頃には判明したものの、「感染経路」の確認や「濃厚接触者」の特定のため、前日と同様の保健所とのやり取りを長時間に渡ってくり返していきました。最終的には、1年3組、3年1組、3年2組が2週間の学級閉鎖とすること(学級閉鎖の対象クラスの生徒は「陽性者」もしくは「濃厚接触者」となります)、学級閉鎖以外のクラスの「濃厚接触者」に連絡すること、追加の検査として残り半分の生徒を翌日25日(金)早朝から検査を実施すること、等が指示されました。前日と同様に23時頃に翌日の検査キットを教頭先生が保健所に取りに行きました。
翌25日(金)も、早朝から全校生徒の残り約半数について検査を実施し、その結果新たに4人が「陽性」と判定されました。「感染経路」の確認や「濃厚接触者」の特定のため、前日と同様の保健所とのやり取りを長時間くり返していきました。最終的には、夜22時30分頃に保健所から連絡があり、2年1組、2年2組が新たに2週間の学級閉鎖とすること、学級閉鎖以外のクラスの「濃厚接触者」に連絡すること、学級閉鎖以外のクラスは来週月曜日から登校させてよい等の指示を受けました。翌日26日(土)からが中体連大会が開催されるため、ほぼ全職員が待機していて、出場できるか棄権せざるを得ないのか複雑な気持ちで保健所からの連絡を待っていました。出場できるとしても、極一部の生徒に限られるわけですが・・・。万一、休校措置を解除できなければ、中体連規則によって6月26日(土)~7月4日(日)までに開催される中体連大会に全部活動が参加できません。結局、保健所からの指示により休校措置は解除することができました。
本来だったら24日(木)、25日(金)は体育会を開催し、26日(土)からは中体連大会への参加と、慌ただしい一週間になるはずだったわけですが、一転それどころではなくなりました。体育会は期日を改め形態を工夫してやり直すことは可能ですが、中体連の方はやり直しがききません。多くの顧問は、一つでも多く勝たせてあげたいと思って、厳しい指導を行ってきたと思いますが、練習の成果を試す機会もなくなりました。「これまで何のために・・・」と、ショックを隠せない顧問の先生もいます。中体連大会に出場できなかった生徒のショックは相当なものだと思います。きっと、悔しい思いで一杯になり、この怒りや無力感をどうしたらいいのかわからないのではないでしょうか。結局、野球部、男女卓球、男子バスケ部、男女バレー部が中体連大会を辞退しました。
本日朝、登校した生徒のみで集会を開き、今回の件について話をしました。その中で、困難なときほど、「人としての本性」や「人としてのあり方」が問われるということを話すとともに、「部活動練習の成果を発揮する機会が奪われても、これまで培ったことが無になることはない」「むしろ部活動で学んだ忍耐強さや思いやりを発揮すべき時ではないか」「目標を見失わずに、頑張って行こう」「自分の怒りや不安を人にぶつけるのではなく、責任ある言動をとろう」「仲間が7月8日(木)から学校に復帰する時、『大丈夫だったか』『心配していたよ』と声をかけれるような人になろう」といった内容を話しました。カウンセラーからは、「いつもと違うショックなことが起こると心が揺れたり、体調や気分に不調がでることがあること」「それは、ショック時の『正常な反応』であること」「睡眠・食事・いつもの活動をできるだけ保ち、モヤモヤは人に話をすることで次第に落ち着いてくること」「先生方や希望があればスクールカウンセラーがお話を聞く用意があること」等の話をしていただきました。また、現在「陽性者」や「濃厚接触者」となって、学校に来られていない生徒が非難されることないよう学校も話をしますが、ご家庭でも生徒に話していただけるようにお願いします。本校は、生徒・保護者の皆さんや地域の皆さんとともに、この試練を乗り越えたいと思います。どうぞ本校へのご理解・ご協力をお願いします。
最後に、今後について以下の点をご確認ください(HPやメールの内容と重複する点もあります)。
- 本日は福岡教育事務所から派遣された原カウンセラーが、明日は本校の山本カウンセラーが一日中本校に常駐します。相談を希望する生徒は遠慮なくカウンセラー室を訪ねていってください。また、本日は各担任や学年職員が個人的な面談を一人ずつ行っています。
- コロナ感染の不安を感じる生徒は、欠席しても構いません。「出席停止扱い」となります。
- 中体連大会を棄権した部活動(出場した部活動も可)については、校長会を通じて引退試合等の協力を依頼しています。顧問と相談してください。
- 部活動で高校の進路を考えている生徒は、オープンスクールへの参加以外にも希望に応じて夏休み期間中に顧問が志望校へ連れて行きます。
- 「陽性者」や「濃厚接触者」、「学級閉鎖の対象クラスの生徒」は、7月7日(水)まで出席停止となります(期日は一応の目安です)ので、現在学習課題の配付やオンライン授業の実施を検討中です。
- 「検査で陰性と判定された生徒の弟妹」と「6月14日以降に教室まで登校していない生徒の弟妹」は、小学校等へ登校しても構いません(兄姉が「濃厚接触者」もしくは「学級閉鎖のクラスに在籍している場合」であっても登校可です)。ただし、陽性者の弟妹については、2週間を目処に自宅待機をお願いします。
- 7月2日(金)に予定していた授業参観・進路説明会は、校内のコロナ感染拡大のため中止とします。3年生保護者の皆様には進路説明会の資料を配付します。
- 休校や学級閉鎖に伴う授業時数確保については、全校生徒を対象に夏休みを短縮する等の措置を検討中です。現在のところ、7月31日まで登校させようと考えています。そこで、三者面談、二者面談の日程に変更がでる可能性がでてきましたので、各学年からの連絡をお待ちください。
- 学校においても、再び感染防止対策を徹底していきます。ご家庭でも感染防止のご協力をお願いします。
以上、よろしくおねがいします。
保護者の皆様へお願い
「いつもと違うときがあったとき、ショックを受けたときに子どもたちに見られる反応について」
福岡教育事務所スクールカウンセラー 原 典子先生より
大きなショックを受けると子どもたちは次のような状態を見せたり、訴えたりすることがあります。これは、異常なことではなく、大きなショックによって現れる普通の反応です。多くは一時的なもので、家庭の中でも受け止めて落ち着かせていくことができます。
- 普段はあまり言わないのに、頭痛、腹痛を訴える。
- 眠れない。
- 夜中に目を覚ます。
- 食欲がない。
- いつもにくらべて元気がない。
- ぼんやりしていることがある。
- 勉強に身が入らない。
- 胸がドキドキする。
- 過呼吸を起こす。
- 親と同じ場所、蒲団に寝たがる。
- 集中力が落ちている。
- 落ち着きがなくなった。
- イライラし、些細なことでも怒りっぽい。
- 感情が不安定になる。 など
これらの状態や訴えは、家族やまわりの大人が落ち着いて、ゆっくりと冷静に、暖かく見守ってくださることで徐々に落ち着いていきます。しかし、心配になるほど症状が重い、あるいは長く続く場合は遠慮なく学校にご連絡ください。
那珂川北中学校 担当:(教頭、養護教諭)(092)953-7887
【子どもたちへの対応について】
◆子どもたちの状態にあわてずに対応しましょう。
- 子どもたちが話してきたときには、さえぎらず最後まで話を聴いてください。話をしたがらないときには、無理に聞き出そうとはしないでください。
- 「自分が~していたから」と自分を責めるようなことを言う場合は、「そんな気持ちでいるんだね」とそのままを十分受け止めてください。
- 不安な様子の時には、一緒にいて安心させてあげてください。
- いつもに比べて神経が過敏でぴりぴりしているようなときは、そっと見守ってください。
- 親の側から離れない、一緒に寝たがるような場合には、拒絶せず、子どもが自分で離れるまで一緒にいてあげてください。
- 身体の不調を訴えてきたときには、ゆっくりと休ませてください。