「学習意欲を向上させるには・・・」

校長 古澤 裕二

先月お知らせしていた「毎日カップ」体力つくりコンテストの結果ですが、お陰様で全国第2位に相当する「毎日新聞社賞」を受賞することができました。素晴らしい快挙で、全校生徒の日頃の頑張りが報われてよかったと思います。

さて、お子さんの勉強について、口やかましく注意したほうがよいのか、本人任せにしたほうがよいのか、悩んでいる保護者の方も少なくないと思います。一概にこれが正解とは言えませんが、中学生の学習意欲を向上させるには基本的にどうしたらよいのでしょう。

下のグラフは、4つの「学習意欲につながる動機付け」が子どもの発達段階によって、どう変化するかを示したものです。縦軸が「学習意欲の高・低」、横軸が「発達段階」です。グラフを見ていきましょう。

  • グラフ①は「賞罰」という外発的動機付けを表しています。具体的には、親から褒められたい、怒られたくないといった理由です。小学校低・中学年まで学習意欲が高まりますが、その後は急激に低下していきます。
  • グラフ②は「興味・関心」という内発的動機付けを表しています。具体的には、子ども自身が学習内容そのものがおもしろいと感じるからという理由です。小学校時代は学習意欲をある程度維持できますが、中学校に入ると学習内容が難しくなって徐々に低下していきます。
  • グラフ③は「規範意識」という外発的動機付けを表しています。具体的には、勉強することは良いことだからという理由です。小学校中学年・高学年で学習意欲が高まります。まだ規範意識が育っていない小学校低学年や勉強が難しくなる中学校では学習意欲につながりません。
  • グラフ④は「自己実現」という外発的動機付けを表しています。具体的には、将来のために勉強しなければならないという理由です。小学校では学習意欲につながらない動機ですが、中学校になると俄然生徒の学習意欲を高めます。

※外発的動機付け:外部からの働きかけによるもの ※内発的動機付け:子ども自身の内面的な要因によるもの

学習意欲につながる動機付けが子どもの発達段階によって変化するということは、教育関係者の中でも意外と知られていません。また、このグラフから、中学生の学習意欲を高めるためには、「自己実現」という外発的動機付けが有効で、他は有効ではないということがわかります。したがって、中学生の保護者としては、子どもに将来のことや高校のことをどう考えているのかを尋ねたり、保護者自身が今の職業に就いた理由や経緯、やりがいや辛いことなどを話したりして、子どもに自分自身の将来を展望させることが大切です。親が「勉強しなさい」と強く言えば、子どもも「なんで?」と強く言い返してくるのではないでしょうか?将来が展望できていないので、勉強する意義を見いだせていないのです。将来が展望できれば、自ずと今やらなければならないことに気づき、行動に移すことでしょう。

ところで、このグラフにはありませんが、どの発達段階でも有効なすごい動機付けがあります。それは、「達成感による内発的動機付け」で、本校の教育方針として何度か紹介しているものです。内発的動機付けとは、先述した「興味・関心による内発的動機付け」と「達成感による内発的動機付け」の2種類があります。「達成感による内発的動機付け」は、人間が「達成感」を味わうと、脳内でドーパミンが出て「やる気」が湧いてくることを利用したものです。「達成感」を味わった時に「褒める」と、さらにプラスの効果を生みます。具体的には、「目標の設定」→「くり返し努力」→「達成感」→「より高い目標の設定」→「くり返し努力」→「達成感」・・・といった「やる気サイクル」をつくり出す方法です。これを本校では「鍛える教育」と名付けて、取り組んでいます。よって、保護者としては、テストの度に「今回の達成目標は?」「毎日の努力目標は?」と目標を尋ねたり、実際に達成目標をクリアできたら褒めてやったりすることが大切です。もしクリアできなかったら、努力の過程を認めてあげてください。

因みに、「褒める」という行為について、誤解が多いので一言述べたいと思います。1970年代にアメリカで「自尊心ブーム」が起こり、子どもの自尊心を高めるために「褒めて育てるべきだ」という考えが広がりました。それが日本に遅れて伝わり、広く信じられるようになりました。しかし実際は、小学校低学年の時期しか有効ではないということがわかっています。この「学習意欲」のグラフでも、「褒める」ことが有効なのは、小学校低・中学年だけです。なぜなら、「褒める」という行為は、目標を達成できたという「結果」の後にプラスされる報酬です。また、「自尊心」も目標を達成できたことで高まるものです。「結果」がでていないのにやたらと「褒める」と、困難に直面した時にすぐに挫折したり諦めたりするマイナスの傾向が出てくると言われていますのでご注意ください。

<引用グラフ:「学習意欲の心理学」 桜井茂男著、誠心書房>

「毎日カップ」体力つくりコンテスト現地視察

11月8日(火)、「毎日カップ」体力つくりコンテスト(第3次審査)の現地視察のため、日本中学校体育連盟参与「菊山直幸」様、毎日新聞社「大矢伸一」様が来校されました。1・2年生の早朝ランニングや補強運動など晴動雨読の取組をご覧いただいたあと、1時間目の3年1・2組男子の保健体育科の授業を視察されました。授業後には、1時間30分程度、学校からの説明・協議を行いました。視察された方からは、授業中の生徒の様子について、「運動量が多いのに手を抜く生徒がいないこと」や「生徒が素直にアドバイスを聞くこと」などに感心してありました。

11月学力診断テストの結果

11月に行われた学力診断テストの結果をお知らせします。

1年生(グラフ中◆)は、9月の夏休み課題テストでの合計偏差値は「55」でした。今回はさらに「57」と2ポイント上昇しました。特に社会科は、前回の「54」から「58」へと4ポイントアップしました。社会科では放課後の再テストを何度も繰り返し行っていたことが成績の上昇につながったと考えられます。テストを繰り返し、できるまで学習することがとても大事なことです。

2年生(グラフ中▲)は、前回と偏差値変わらず「55」と現状維持です。理科をさらに伸ばしていくことが課題です。

3年生(グラフ●)は、「57」から「55」となり、2ポイント落ちてしまいました。3年生は一生懸命勉強していると思いますが、さらに他校の生徒も本気になって勉強しています。3年生にとっては今が正念場です。「もう一息、もう一息、ここであきらめては何事にもならない」この時期の努力が高校生活、そしてこれからの人生においても財産となります。3年生、ラストスパート、がんばってください!

地域清掃活動

11月12日(土)の午前中に、全校生徒が各地域に出向いて、ボランティア活動を行いました。生徒たちは、道路清掃や、公民館、公園の清掃等の活動を行いました。活動中には、地域の方から声をかけられる場面が見られました。清掃後には、全ての場所で見ちがえるように綺麗になり、お手伝いいただいた地域の役員さんも感心されていました。生徒は、地域の方からたくさんの感謝の言葉をもらうことができ、とてもうれしかったようです。区長様をはじめとする地域の方々、地域に貢献する機会を与えていただきありがとうございました。

【地域の区長様からの感想】

  • 短い時間でしたが、しっかり清掃してくれてきれいになりました。女性の方が積極的でした。ありがとうございました。
  • 引率の先生、参加された生徒たち、地域活動に参加してくれてありがとうございました。区の宝であり、誇りである生徒たちにあえて感謝しています。

そよかぜフェスタ 

11月12日(土)午後から3年ぶりのそよかぜフェスタを開催しました。生徒たちは注文していたお弁当や飲み物などを受け取り、楽しそうに友人と食事をする姿が見受けられました。また、様々なゲームや写真コーナーが準備され、ステージ上ではカラオケやダンス、武道の演舞、バンド演奏などが行われました。体育館の後方では、学級対抗の綱引きも行われ、大いに盛り上がっていました。コロナ禍で保護者や地域の方の一般参加はできませんでしたが、生徒にとってはとても楽しいイベントだったと思います。PTA役員の皆様、協力いただいた各部活動の保護者の皆さん、ありがとうございました。3年ぶりの「そよかぜフェスタ」ということもあり、SNSの問題やステージ演奏に対する鑑賞マナーの問題等、課題も少なくありませんでした。来年度は、今回の課題を検討して改善していきます。

12月~1月の主な予定 

※今後のスケジュールについては、HPのトップでご確認ください。

お知らせ

○「自作弁当の日」について

今年度も食育推進の試みとしまして、12月10日の土曜授業(北風走)の日に、生徒による「自作弁当の日」を計画しております。自分で弁当をつくることを通して、食に関心をもち、家族を大切にする心情や自立した生活態度を育てることが目的です。「自作弁当の日」の事前学習として、11月28日(月)に1年生に対して精華女子短期大学の阪田直美先生を講師として招き、①中学生期の適切な食について②自分で弁当を作ることの意義③弁当作りに関して、適量・つめ方・工夫等について、ご講演いただきました。生徒が自分で弁当をつくる貴重な機会となります。保護者の皆様におかれましては、できるだけお子様一人の力で弁当をつくるよう、配慮をお願いいたします。