「学力向上へ向けて」
9月18日に生徒会選挙が行われ、生徒会も3年生から1、2年生にバトンタッチされました。8月末には1年生自然教室が行われ、実行委員を中心として1年生も自主的な運営が進められるようになりました。後期は1,2年生を中心に新しい那珂川北中を作っていってほしいと思います。一方で、3年生は本格的に受験モードに入りました。「受験は昔の元服(武士の成人の儀式)に当たる」と言われた方がおられました。将来を見据えて自分で進路を考え、選び、努力する受験は、中学3年生を大人に近づけてくれると思います。第一希望の進路を実現するために、3年生全員で頑張ってほしいと思います。
7月31日に子どもの学力の変化を見る国の「経年変化分析調査(2024年度)」の結果が公表されました。前回(2021年度)の調査より全教科で成績が大幅に下がっており、識者や文部科学省内で「深刻な結果」と受け止められていると報道がありました。成績が下がった要因について、コロナ禍が影響した可能性のほかに、ゲームやスマートフォンを使う時間が前回より増え学校外の勉強時間が減っていたこと、子どもが良い成績をとることにこだわらない保護者がふえていたことも指摘されていました。コロナ禍や社会の変化の中で、未来の日本を担う子どもたちの学力に対して、大きな危機感が持たれているのです。
本校では、10月を「学力向上月間」と名付け、生徒の学力の向上に努めていきます。それに関連して、本校の学力向上の取組や考え方について、5つの視点からお伝えします。
- 授業規律の徹底
授業規律とは、授業中に守るべきルールやマナーのことを指します。これは単なる「厳しさ」ではなく、学びの場としての教室を整え、全員が公平に学ぶための大切な土台です。現在は『個別最適な学び』という言葉で指導の個別化や学習の個性化が求められ、生徒が自律的な学習者として育つことが期待されています。規律のある授業では、生徒一人ひとりが自分の学びに責任を持ち、能動的に参加する雰囲気が生まれます。「学ばされる」のではなく、「自ら学ぶ」姿勢が育てる土台として、学習規律は今以上に重視されていくと考えます。
- 各教科・各学年における工夫
よく授業改善と言われますが、授業改善とは2つのことを意味します。それは、「わかりやすい授業を行うこと」と「わからせたことを定着させること」です。わかりやすい授業については、タブレットを活用したICT教育の充実を図っていきます。また、わかりやすい授業を行っても、学習内容を定着させる取組をしないなら、一時的な理解で終わってしまいます。そもそも学習内容の70%は、翌日になれば忘れているというデータがあります(「エビングハウスの忘却曲線」と言う)。そのため、定期的に思い出させる学習を仕組むことが大切です。忘れた頃にくり返し学習すると、脳が「これは大切な事だ」と判断し、長期記憶として保存されるような仕組みになっているのです。本校では、帰りの会において各学年で工夫して実施する「エブリデイ学習(30分間)」等がその役目を担っています。
・補充学習・自主学習のサポート
学習が遅れがちな生徒については、授業中だけではなかなか行き届いたサポートを行うことができません。本校では、「CSS」と称して、職員室前に机・椅子を並べた学習スペースを活用して、放課後の補充学習を行っています。また、自主学習を行う生徒や宿題を忘れた生徒も利用しています。例年、受験前には、平日放課後や休日に学習スペースを利用する3年生が常時数名いました。因みに、「CSS」とはコミュニティ・スクール・スタディの略で、担当教師2名以外にも、地域の方や大学生がサポート役として来校していただくことを期待して付けた名称です。さらに、那珂川市教委と連携して、「Nスペ」と言う土曜学習会の参加者の充実も図っています。
- 家庭学習充実のための工夫
「1・2年生は2時間、3年生は3時間」というのが、中学生の1日の家庭学習時間の目標として定めています。(塾も含む)。下のグラフは3年生の平均学習時間と目標学習時間(3時間)の達成率の推移を示したものです。部活動などを引退し始める7月から学習時間が増え、目標学習時間を達成した生徒も7割を超えています。また、3年生は期末考査前の「ノーメディアDAY」の取り組み(生徒会マナー向上委員会の取り組みで、『試験3日前から、スマホ・携帯、テレビ、ゲームをしない』ことを目標とし、試験勉強に集中しようというもの)実施後のアンケートでは、三年生は実に78.6%の生徒が「(スマホ・携帯・テレビ・ゲームを)一切触っていない」と回答していました。3年生の結果から「進路(将来)を意識させる(考えさせること)」「スマホなどのメディアから離れる時間を取ることの重要性が示されています。

家庭学習を充実させるために、本校では独自の「サクセスノート」を活用させています。今年度は活用方法を工夫し、自主的に取り組むスペースを増やしています。自分自身にとって意味あるものや受験につながるものにしてほしいと思います。また、家庭学習のやり方についても、脳科学に基づいた効率の良い家庭学習法というものが存在します。「学びナビ(家庭学習のナビゲーションの略)」と称して、各学年集会で説明しています。
- 学習意欲を向上させる工夫
よく言われるのは、生徒の「内発的な動機付け」の重要性です。これは「学習内容の面白さを味わわせること」を意味していますが、中学校の学習内容は小学校と比べ随分難しくなるとともに、教科による好き嫌いがはっきりしてくるので、全ての教科で「学習の面白さ」を生徒に味わわせることはほとんど不可能です。実は、「内発的な動機付け」はもう一つの意味があります。それは、「達成感を味わわせること」です。達成感を味わわせることでやる気が出て、次の学習への動機付けとなるのです。したがって、中学校では、「面白そうだ」より「わかった・できた」を感じさせることのほうが大変重要です。これは、以前本校の教育方針でも述べたことですが、目標をもたせ、その達成に向けてくり返し努力させ、達成感を味わわせるというサイクルをつくり出すこと(本校では「鍛える教育」と呼ぶ)が大切です。また、自分の努力過程を振り返らせることも大切です。これを「努力の見える化」と呼んでいます。たとえ目標を達成できなかったとしても、「これだけ努力したんだ」という振り返りができるように、サクセスノートの中に毎日の家庭学習時間等を記録させています。さらに言えば、外発的な動機付けも重要です。これは、キャリア教育を充実させることによって、生徒に自分自身の将来を展望させることです。将来のことを考えさせるによって、将来の自己実現のために今何をやるべきかが見えてくると思います。 以上のように、学力向上は、様々な取組を通して初めて実現できるものです。今後も様々な取組を通して、生徒の学力向上を図っていき、その成果をお伝えしていきます。
前期後半の学校生活のようすから
●1年生「自然教室」を実施しました
1年生は、8月27日(水)から2泊3日の行程で海の中道青少年自然の家にて「自然教室」を実施しました。今回は「一笑懸命」をスローガンに掲げ、実行委員を中心にその準備をすすめるとともに、学級・生活班・各係の活動を通して個人が自立し、共に支え合うことができる学年集団をめざしました。3日間を通して天候にも恵まれ、野外調理やカッターボート教室、ビーチクリーニング活動など、計画していたすべての行程を実施することができました。中学校に入学して約半年が経過し、1年生にとっては先輩に頼ることなく自分たちの手で企画・運営した初めての行事―「自然教室」を経験した1年生は、それまでに比べてずいぶんとたくましく成長した姿が数多く見られるようになっています。この経験を引き続き、今後の学校生活に活かすことができるよう期待しています。


●文化発表会(合唱コンクール)の取組が始まりました
文化の秋の香りも色濃くなり始めた今月中旬から、本年度文化発表会に向けた取組をスタートさせました。このうち、合唱練習初日となった16日(火)、実行委員および各学級のリーダー生徒が一堂に集まり、合唱コンクールに向けた「リーダー会」を実施しました。本年度の文化発表会は「共創~心に響け、伝えたい想い」をテーマに、各学級ごとに挑む合唱コンクールや展示作品、ステージ発表などを通して「力を合わせて新しいものを一緒に創り出す」ことをめざしています。現在、音楽の授業時間をはじめ、毎日30分間の合唱練習時間に、校内で様々な合唱の歌声が聞こえています。各学級の心のこもったハーモニーが発表会当日に奏でられることを願っています。

今年度も「地域貢献活動」を推進しています!
今年度も夏休み前後に校内をはじめ、校区内の様々な地域で本校生徒が積極的に貢献活動に参加しています。夏休み直前の7月は、校内でボランティア活動を実施しました。また、夏休み中は「ラジオ体操」や「学習補助」、「夏まつり」準備など、多くの地域貢献活動に本校生徒が参加しました。本年度は、地域貢献活動に参加した生徒が9月15日現在で326名にのぼります。活動前には各区の区長さん方を学校にお招きし、部伍長ら生徒代表が地域の要請に耳を傾け、各部伍ごとに参加者を募って実施しています。活動後は地域の多くの方々から労いの言葉やお褒めの言葉をいただくことができています。また、参加した生徒の中にも達成感を味わうことができた生徒が昨年度に比べて増しています。今後も引き続き「秋祭り」などの運営ボランティアとして地域に貢献できるよう、引き続き活動を推進していきます。地域の皆さま、どうぞよろしくお願いいたします。


祝 卒業生・藤井菜々子さん 世界陸上銅メダル獲得!
9月20日(土)、世界陸上東京大会・競歩女子20㎞競技において、本校卒業生・藤井菜々子さん(平成26年度卒)が日本新記録となるタイムで見事銅メダルを獲得しました。この競技で日本選手がメダルを獲得したのは、オリンピックを含めた国際大会で史上初めてという快挙でもありました。藤井さんは、本校在学中に陸上部に所属し、卒業後は北九州市立高校へ進学して本格的に競歩競技を始め、高校2・3年時にインターハイ優勝。その後は実業団に所属してオリンピックをはじめとする数多くの国際大会に出場しています。母校の偉大な先輩として、私たちにも勇気と希望を与えてくれた藤井さんに感謝の気持ちをもつとともに、藤井さんの今後のさらなる活躍にエールを送りたいと思います。


