「ネット依存」

 6月から始まった筑紫区中体連大会では、本校の生徒たちがそれぞれの競技に真剣に向き合い、これまでの練習の成果を発揮して立派に戦いました。7月には筑前大会が行われ、男女バスケットボール部が県大会出場を決めるなど、各部活動で活躍が報告されています。応援してくださった保護者の皆様、本当にありがとうございました。7月末からは吹奏楽部のコンクールも始まります。県大会やコンクールを控えている生徒の皆さんは、一年間の集大成として頑張ってほしいと思います。

 さて、先月各学年で「ネット依存」に関する調査を行いました。この調査は、保護者から、オンラインゲームを無理に止めさせたところ、子どもが家で暴れるという相談を受けたことをきっかけに毎年行っている調査です。調査の内容は、神奈川県にある久里浜医療センターが利用している「インターネット依存度テスト」を参考にしたものです(※調査内容はHP「学校通信7月号」に掲載)。結果を点数化し、点数が高ければ「問題ユーザー」、さらに高ければ「治療を要するユーザー」となります。グラフはその調査結果で、大変危惧しているところです。全体的に「問題ユーザー」が多く、1年生は約半数以上の生徒が「問題ユーザー」という結果となっています。尚、夏休みの二者面談、三者面談で各生徒のアンケート結果をお知らせいたしますので、ご家庭でも話し合いのきっかけにしていただければと考えています。

 ネット依存は、インターネット依存とゲーム依存、その両方の要素を併せ持つインターネットゲーム(オンラインゲーム、ネトゲ)依存のことを指します。厚労省研究班の2017~2018年の調査によると、中高生の約12~19%に当たり、全国で推計93万人が「ネット依存の疑い」とされています。また、国立成育医療研究センター発表(2024年8月)では、小中高生の約5人に1人が強く疑われる状態にあり、過剰利用の実態が半数にのぼるとの結果も報告されています。今日、ネット依存は、コカインや大麻、覚醒剤、ヘロイン等の麻薬中毒と同じように、大脳の神経ネットワークそのものの変質や脳の萎縮が起こるとされ、強い警鐘が鳴らされています。決して大げさな話ではありません。その症状は、「他人の気持ちへの無関心」「冷淡」「うつ状態」「情緒不安定」「危険への鈍感さ」「自殺念慮」「注意力の低下」「処理速度の低下」等々として現れます。特に、脳の発達途上である子どもには悪影響を及ぼし、親がネットを無理に制限すれば子どもが家で暴れたり親に暴力を振るったりするケースも、今や決して珍しいことではありません。また、近年ネット依存によって、幼少期には問題がなかった子どもが、青年期以降に発達障害に似た症状が出ることも報告されています。

 2019年には世界保健機関(WHO)が「ゲーム障害(gaming disorder)」を新たな国際疾病分類として認定しています。世界的に見ると、インターネット依存(Internet Addiction, IAD)の割合には地域ごとに大きな差があり、特にアジア・中東地域で高い傾向が見られます。日本の12~18歳のインターネット利用率は、アジア域内でトップクラス(15歳未満では第3位程度)、オンラインゲーム参加率も日本が高く、アジア6か国比較では最上位(39%)となっています。世界的にはSNSなどの規制の動きが取られるようになり、昨年2024年11月、オーストラリアでは「16歳未満のSNSの利用を禁止する」法案が可決されました。対象は、TikTok、Facebook、Snapchat、Instagram、X。SNS事業者に「16歳未満には使わせない設計」を求め、違反したら最大約50億円の罰金を科すこととしています。オーストラリア政府は「子どもの心身への健康の悪影響」「ネットいじめ、性犯罪の急増」といった国民の声がきっかけであるとしています。

 ネット依存が生じるメカニズムには、脳内物質「ドーパミン」が関係しています。「ドーパミン」は、「快感や幸福感を得る」「意欲が高まる」等の機能を担う脳内ホルモンです。人は胸をときめかすような刺激を感じると脳内で「ドーパミン」が放出されます。ネットによる刺激を頻繁に味わうと耐性が生じて、同じ満足を得るためにもっともっと長時間、もっともっと強い刺激を求め続けるようになってしまいます。最終的には、その刺激がないと生きられないと感じ、依存傾向が強くなります。もともと脳内物質「ドーパミン」の役割は、「達成感」を味わったときに放出されることで、嫌なことや目先の欲望にも負けずに、もっと大切な目標達成に向かって努力する生き方を可能にするものなのですが・・・。

 お子さんがネット依存(全ての依存症)に陥らないためには、「勤勉さ(自制心)」という大切な価値観を育てることが重要です。これは、「やりたくなくてもやるべきことはやる」「やってはいけないことはやらない」という自分の欲求を制御する能力です。さらに言うと、短期的には苦労だが長期的には報われそうな行為に励むこと、短期的には快楽だが長期的には自分を損なう行為を慎むことです。それができたときに、周りの大人が評価してあげることによって習慣化していきます。専門家の方が、「小さい頃から勤勉な習慣と価値観を身に付けさせることは、子どもに一生の宝を与えることになる」と述べています。また、お子さんにネット依存の兆候がある場合には、「今の状態のままで本当によいのか」ということを親子で話し合ってみてください。

※参考引用文献「インターネット・ゲーム依存症」岡田尊司著 文春新書

「ワンヘルス」という考え方

 「ワンヘルス」とは、「人の健康」「動物の健康」「環境の健康」はすべてつながっている、という考え方です。新型コロナウィルス感染症によるパンデミックを教訓とし、第二、第三のパンデミックを防ぐために、「人の健康」「動物の健康」「環境の健全性」を一つの健康ととらえ、一体的に守っていくという取組です。福岡県では、このワンヘルスを大切にして、さまざまな活動を進めています。たとえば「動物との正しい関わり方や命の大切さを学ぶ活動」「感染症を防ぐための情報発信や衛生習慣の見直し」「ゴミ拾いやリサイクルを通じた環境保護」「食べ物を無駄にしないフードロス削減の工夫」などです。

 夏休みは、ふだんできないことにじっくり取り組むチャンスです。この機会に、福岡県の「ワンヘルス」の考え方をもとに、こんなことにチャレンジしてみませんか?

6月学力診断テストの結果

 6月17日(火)に行われた、3年生学力診断テストの結果をお知らせします。3年生の県偏差値(福岡県の平均点を50とした際の偏差値)は「56」と非常に高い県偏差値となっています。今回のテストを受験した筑紫区内各中学校の順位でも、各教科とも上位を占めています。3年生は夏休みからいよいよ本格的な受験勉強に入ります。当然、他校の3年生も進路実現へ向けて努力を始めます。この夏休みに「勉強できる習慣づくり」をしっかりと行ってほしいと思います。夏休みの目標は一日「5時間以上勉強する」。勉強がはかどらない日ややる気の起きない日もあると思いますが、夏休みに受験勉強できる習慣をつけておけば、おのずと9月以降に成果となって現れてきます。ぜひ、中学卒業後の次のステージでがんばる自分をイメージして、この夏頑張ってください。

夏季中体連(筑紫区・筑前地区大会)

 学習と同様に、6月以降、部活動(地域クラブ活動を含む)でもさまざまな大会において多くの生徒が日頃の努力の成果を発揮できています。特に、夏季中体連大会においては、本年度も多くの部で団体および個人競技で好成績を収めています。

 今回は、本通信を発行する7月18日現在の、本校生徒の夏季中体連(筑紫区・筑前地区)大会の結果を誌上報告いたします。すでに福岡県大会出場を決め、暑いなか引き続き上位大会に向けて練習に励んでいる生徒もいます。

 福岡県大会に出場する皆さん、その先にある九州大会そして全国大会をめざす勢いで頑張ってほしいと思います。

「卒業生に学ぶ」キャリア教育講演会を開催

 7月15日(火)、3年生を対象としたキャリア教育講演会を開催しました。講師は、今春本校を卒業した小田結月さん(福翔高1年)と禅院綾奈さん(春日高1年)の2人の“先輩”です。小田さんと禅院さんには、志望校を決めた動機や現在高校生活を体験している心境などについてお話ししてもらいました(右上の写真)。中でも、自身が中学校在学中に身に付けた効果的な勉強法や、夏休み中およびそれ以降の心構えについて、自身の体験をもとにしたお話は、これから本格的な受験勉強に向かう3年生にとってたいへん貴重なものになりました。

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