学校通信(6月号)

「運動部活動の地域移行」校長 佐藤 茂史

前期中間考査、県・全国学力テスト等のテスト関係が全て終了し、いよいよ中体連大会の時期となりました。6月7日(土)の陸上競技を皮切りに、すでに各競技がスタートしています。

さて、部活動については、那珂川市でも中学校の運動部活動地域移行(那珂川市地域クラブ活動)を進めています。今年度地域クラブに順次移行する競技は次の7種目です。

・軟式野球部  ・サッカー部  ・剣道部  ・水泳部  ・ハンドボール部  ・陸上部(長距離)  ・陸上部(フィールド競技と短距離)

6月末時点では、ハンドボール部、陸上部、水泳部が地域クラブに移行し、活動をスタートしています。他の三種目は夏休み以降に移行していく予定です。

那珂川市の地域クラブは、当面の間、那珂川市教育委員会スポーツ課が運営を担います。指導員は「那珂川市地域クラブ活動指導員登録バンク」に登録した指導員の中から、クラブ活動状況に応じて配置されます。現時点では、中学校の顧問も部活動指導員として登録し、指導にあたっています。今年度は地域クラブへの移行期として、種目毎に学校とスポーツ課が随時協議しながら、生徒達が引き続き充実した活動ができるように進めています。今後、他の種目や部活動も地域クラブへの移行が検討されていく予定です。

ではなぜこのような部活動の地域移行が進められているのか?その理由の一つ目は、教員の負担軽減です。本校職員であれば、勤務時間は8時15分~16時45分です。それ以外の平日の時間帯(朝練・夕練)、土日祭日は勤務時間ではありません。そのため、校長であっても、勤務時間外に部活動の実施を職員に命じることはできません。にもかかわらず、これまで長年に渡って部活動を滞りなく行うことができたのは、ひとえに部活動顧問のボランティア精神によるものです。しかも、職員の構成上、競技種目の経験や専門性の有無とは関係なく、顧問を依頼する場合も少なくありません。加えて各先生方の家庭の事情もあるため、顧問の負担は決して軽いものではありません。このような現状から、部活動顧問は希望制とする自治体も増加しており、部活動を担う顧問の不足も課題となってきています。(ただし、部活動を負担と感じている顧問ばかりではなく、部活動を生きがいに思っている顧問や部活動をやるために教員になったという顧問の先生方も当然おられます。)

理由の二つ目は、少子化です。全国における中学生の数は1962年が最多で約733万人でしたが、2019年には約322万人まで落ち込んでいます。そのため、チーム競技の場合、1つの学校では必要な人数を確保できず、合同チームを編成する学校も増えてきました。各学校を単位とした部活動という考え方を改めなければならない時期に来ています。

以上のような理由から、「運動部活動の地域移行」が進められることになったわけですが、スポーツ庁は令和5年度から本年度までを「改革推進期間」として休日の部活動の地域移行を進めてきました。公立中学校の部活動改革を検討してきたスポーツ庁・文化庁の部活動改革実行委員会は5月16日に最終報告をまとめ、来年度から6年間を「改革実行期間」と位置づけ、平日の部活動の地域展開を進める他、休日については原則、全ての部活動を地域のクラブなどが指導することとしました。(「地域移行」としてきた名称も、地域全体で支える趣旨を明確にするために「地域展開」に変えるそうです。)

このように、国はこの「地域移行(展開)」を今後も段階的に進めていくつもりですが、ここにも様々な課題があります。例えば、全競技種目で地域の受け入れ先や指導者がいるか、保護者の金銭的な負担はどうなるのか、平日は顧問による指導、休日は地域による指導となった場合の連携をどうするのか、競技中のケガや事故等に対して誰が責任をとるのか、「兼職兼業」の教員への報酬は誰が負担するのか、等々・・・。今後、自治体毎に、様々な課題を検討され、よりよい運動部活動のあり方を模索していくことになると思います。那珂川市では、今後市内3中学校で部活動を希望する生徒が、那珂川市地域クラブ活動のなかで、他の中学校の生徒と一緒に専門的な指導を受けながら活動できる持続可能な仕組みづくりを進め、併せて教員の負担軽減も図っていく予定です。

これまで我が国のスポーツを下支えしてきた運動部活動のあり方が大きな変革期を迎えていますが、運動部活動の本来の意義を見失わないようにしなければなりません。それは、運動部活動が、生徒のリーダー性や協調性、耐性、社会性等の向上といった、中学生の人間形成に大いに役立つものであるという点です。特に、ある大学教授の言葉が印象に残っています。それは、「部活動は挫折回復能力を養う教育活動だ」という言葉です。試合で負ける度に「挫折」を味わい、そこから立ち上がる経験を何度も繰り返す。そのことで、将来どのような困難にも負けない力を養って行く。このような貴重な経験は部活動を通じてしか味わえないというわけです。

本校では、「裏を鍛えれば表が輝く」という部活動のスローガンを掲げ、部活動の活性化に努めています。今後、運動部活動の地域移行が進められる中においても、専門的な技術や体力とともに、本来の部活動の意義を踏まえて生徒の人間形成を図っていきたいと思います。

「ノーメディアDAY」結果

 

本校では、定期考査や学力診断テスト前に「ノーメディアDAY」の取り組みを行っています。各テストの前3日間を対象に、「スマートフォンの電源をオフにする」「テレビをつけない」「ゲームをしない」という3つのルールに取り組んでいます。

前期中間考査前にもこの活動を実施し、あわせて考査前4日間の家庭学習時間についてアンケート調査を行いました。その結果、「ノーメディアDAY」に対して「とても取り組めた」「だいたい取り組めた」と回答した生徒の多くが、平均して1日3時間以上の学習時間を確保していた一方で、「ぜんぜん取り組めなかった」と回答した生徒の多くは、平均学習時間が1時間程度にとどまっていました。この結果からも、「ノーメディアDAY」の効果が一定程度見られたと考えています。

今後もこの取り組みを継続し、生徒がテスト前にスマートフォンなどのメディアから適度に距離を置き、学習に集中できる自制心を育んでいけるよう、指導を続けてまいります。

 

“楽しく鍛える”―「エクササイズ教室」開催しました

6月13日(金)、UNSボディメークパーソナルトレーナー・小久保麻衣さんを講師にお迎えし、毎年恒例の「エクササイズ教室」を本年度も各学年で開催しました。本校では、朝の登校時間後に実施している「晴動雨読」で、ランニングとともに数日おきに補強運動も行っています。この補強運動をさらに意識を高めて充実させるとともに、音楽に合わせてリズミカルに身体を動かすことの心地よさを味わわせながら心身共に鍛えることを目的に「エクササイズ教室」を実施しています。

1年生にとっては初めてのエクササイズ―はじめは緊張した面持ちで講師の先生による見本や説明を見聞していた1年生でしたが、途切れることなく流れる軽快な音楽と、勢いある講師の先生の掛け声とともに、少しずつその緊張もほぐれ、笑顔でしっかりと身体を動かすことができました。また、2・3年生では「格闘技エクササイズ」とよばれるプログラム―1年生のメニューよりも一段とレベルアップした運動メニューに挑みました。休憩と水分補給をしっかりと挟みながらのエクササイズで、どの生徒もしっかりと汗を流すとともに、多くの生徒に清々しい表情がみられました。先月の学校通信でもお伝えしたとおり、運動が脳に好影響をもたらすことや、学習への集中力が高まったり精神的な不安が改善されたりする効果をもたらすことが提唱されています。「エクササイズ教室」をきっかけに、子どもたちが運動への意識や好感度をさらに高め、体力の向上につながることを願っています。

「授業参観」を随時実施しています

本校では、6月から7月にかけて「授業参観」を随時実施しており、全学級で担任2名がそれぞれの教科等の授業を公開しています。授業によっては、同教科担当教員も参観し、授業改善に向けた研修も行っています。

7月も引き続き授業参観を計画しております。その日程の最新版を7月1日(火)に安全安心メール・tetoru等でお知らせする予定です。

 

女子ソフトテニス部・筑紫区中体連大会団体優勝!

6月は、陸上競技を皮切りに、夏季中体連大会がさまざまな競技に分かれて開催されています。このうち、15日(日)に春日公園で開催された筑紫区中学校ソフトテニス大会において、本校女子ソフトテニス部が見事団体優勝を収めました。

この日は、初戦で春日野中学校と対戦して3-0で勝利を収めたのに続き、2回戦では大利中学校に2-1で勝ち、団体戦予選を1位で通過できました。続いて行われた決勝トーナメントでは、1回戦(対太宰府中学校)・準々決勝(対筑紫野南中学校・準決勝(対大野東中学校)と勝ち進み、決勝戦へと駒を進めることができました。また、決勝戦では天拝中学校と対戦。試合中、次第に天候が悪化し、雨が降る中での決勝戦となりましたが、そんな逆境を諸ともせず、2-1で勝利できました。顧問を務める日下部先生によれば「日頃から、雨が降るなど条件が悪い中でも練習してきた努力の成果が実りました」とのこと。努力の上に大きな花を咲かせることができました。

なお、女子ソフトテニス部(団体戦)は7月12日(土)に開催される筑前地区大会に出場します。引き続き、応援よろしくお願いいたします!

  • ほかの部活動も各大会で頑張っています!

ソフトテニス部以外にも多くの部活動が各競技大会・会場で日頃の練習の成果をしっかりと発揮してくれています。特に、3年生にとっては“中学校生活最後の夏”となる中体連大会ですから、悔いが残ることのないよう全力を出しきることができるよう、引き続き応援しています。

なお、本校にかかわる各競技結果については、本誌の来月号でお知らせいたします。

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