「本校における特別支援教育」 校長 平野 善浩
はやいもので本年度も残すところあと1ヶ月となりました。2年生は2月19日~21日の2泊3日に奈良京都へ修学旅行に行きました。時々雪が舞う寒い天候でしたが、生徒は元気いっぱいに奈良京都を楽しんでいました。また、行く先々で、自主的に行動できている姿を褒められました。特に天龍寺の座禅体験では、宗務総長の小林和尚から、生徒が寒い中、正座して一生懸命話を聞く姿を見られて、「この学年はすごいね。素晴らしい生徒たちだ。」と褒められていました。全国からきた、多くの修学旅行の生徒を見られている和尚さんから褒められ、校長としてもとてもうれしい気持ちになりました。これも日頃からの生徒達の努力が修学旅行でも発揮されたからだと思います。
さて、今回は「特別支援教育」についてです。特別支援教育と言えば、発達障がいの種類や程度等に応じて、個に応じたきめ細かな指導や支援を行うことを指します。「特別支援教育」と言えば、「特別支援学級」における指導や支援と思われがちですが、実際には通常学級にも、特別支援教育を必要とする発達障がいの生徒が在籍していると言われています。発達障がいの可能性がある児童生徒は、1クラスにつき3人いるといわれています。平成24年度に行われた文部科学省の調査によると、全国の公立小中学校の通常学級に発達障がいの可能性がある児童生徒の割合は8.8%に上り、1クラス3~4人いることになります。
発達障がいは、脳の発達に関わる障がいであり、主に次の3つの診断名があります。
○「自閉症スペクトラム障がい(ASD)」ASDは、社会的な相互作用やコミュニケーションの困難さ、特定の興味や行動の繰り返しが特徴です。症状は個人差が大きく、軽度から重度までさまざまです。
○「注意欠陥・多動性障がい(ADHD)」ADHDは、注意を集中させることが難しく、衝動的な行動や過剰な活動が見られる障がいです。特に学校や家庭での生活に支障をきたすことがあります。
○「学習障がい(LD)」LDは、知的には問題がないのに、特定の学習(読み書き、計算など)に著しい困難を感じる状態です。主にディスレクシア(読み書きの困難)やディスカリキュリア(計算の困難)があります。
発達障がいによる症状は薬などである程度抑えることができるものもありますが、根本的な治療は難しいとされています。子どもがかかえている困難さを周囲が理解して対応しきれていないために、本来かかえている困難さとは別の二次的な情緒や問題行動が出てしまうものを、「二次障がい」といいます。それは、心理的な要因から起こるもの、身体的にも影響を及ぼすものなど様々です。また、発達障がいは単独障がいのみならず、ASDとADHD、LDとADHD,等というように、発達障がい同士の合併や、二次障がいから派生した別の症状・障がいと、共に存在することが多いことが現状です。
発達障がいについては、マイナスイメージをもたれる方も多いかも知れませんが、多くの著名人や歴史上の人物も発達障がいであることが指摘されています。例えば、アルベルト・アインシュタインは、幼少期に言葉の発達が遅れ、教師から「学問に興味がない」と思われることもありましたが、後に理論物理学の革命的な業績を成し遂げました。また、彼が発達障がいの一つである「アスペルガー症候群」の特徴をもっていた可能性が指摘されています。アインシュタインは、問題を解決するために他の人々と異なる視点で考えることができ、それが後の「相対性理論」等の功績に繋がりました。
このように発達障がいは、困難さや不得手な部分がある反面、特出した才能を有する場合も多くあります。また、自分の困難さや不得手の部分を補っていく方法を知ることで、周りから適切な支援が行われれば、うまく対応できる場合も少なくありません。さらに、一般の人々の中でも、程度の差こそあれ、何らかの得意・不得意分野や認知の偏りがあるものです。そのため、発達障がいを「支援を必要とする個性」ととらえてはどうでしょうか。
本校では、年度当初に「スクリーニング」を実施しています。これは、担任や副任など複数の学年教員によって、気になる生徒の状況を、チェックリストを活用して、ピックアップしていきます。また、那珂川市特別支援教育センターの専門家と連携していて、定期的に授業の様子を見に来ていただいています。そこで、学校側の担当者と特別支援教育センターの専門家とが協議した上で、保護者との連携が必要な場合には家庭連絡を行っています。その後、保護者をセンター相談につなぎます。そこで、センターが必要であると判断したときに検査を実施します。場合によっては、専門の医療機関を紹介します。医療機関で検査を実施した場合や、受診した場合には、その結果を保護者と教職員が共通理解し、当該生徒に対応していくことになります。
これらの取組は、子どもの特性を把握するためにとても重要なものです。子どもの特性が把握できなければ、教員はなぜ指導が上手くいかないのかわからないままで、一方生徒もいつまでも困り感を抱えながら学校生活を送ることになってしまいます。保護者や教師が発達障がいに対する認識を深め、早期発見に努め、家庭と学校、専門機関と連携しながら早期対応していくことが求められるのです。ご家庭におかれましても、お子さんについて気になることがあれば、学校や特別支援教育センター等への相談をお願いいたします。
九州アンサンブルコンテスト 金賞受賞!
2月8日(土)に宮崎市民文化ホールで第50回九州アンサンブルコンテストが行われました。本校は打楽器6重奏で出場し、J.グラステイル作曲の「ヴォルケーノ・ミラー」を演奏しました。今年度は、打楽器担当の上級生が1名のみで、下級生2名に管楽器担当生徒からピンチヒッターとして3名のメンバーを加え編成しました。やる気は十分でも専門的な技術が追い付かず、音楽をつくりあげていく過程は苦難の連続でした。それでも努力を積み重ねた結果、見事4年連続の九州大会出場を果たし、金賞を受賞することができました。出場生徒の努力は勿論ですが、他の部員たちが出場生徒を献身的に支え、当日も運搬補助を頑張ってくれたことも大きな力となりました。全員でつかみ、全員で喜びや達成感を得ることができた素晴らしい大会でした。
1・2年生 総仕上げテストの結果
2月7日(金)に行われた1,2年生学力診断テスト(総仕上げテスト)の結果をお知らせします。1年生は(グラフ中◆)、偏差値「56」となりました。4月実力テストは「51」でしたので、この1年間で偏差値を5ポイント伸ばしました。今回のテストでは、特に理科の偏差値が「59」となり非常に高い数値を出しています。2年生は(グラフ中▲)、前回より1ポイント上昇して「57」です。2年生最後のがんばりを見せてくれました。1,2年生ともに、筑紫地区内で上位の成績をキープしており、各学年の学力向上の取り組みの成果だと考えています。「1,2年生の時期が最も成績が伸びる時期」と言われます。那珂川北中が属する「第5学区」は県内でも成績が高い地区でもあり、3年生になるとどの学校の生徒も受験勉強モードに入ります。来年度は各校の3年生が受験勉強に入る10月11月の時期にも力を伸ばせるよう、頑張ってほしいと思います。次回は4月11日(金)の学力テストです。ぜひ1,2年生は今年度最後のこの時期に、既習事項をしっかり復習し、新しい学年に臨んでほしいと思います。
令和6年度 2年生修学旅行
2月19日(水)から21日(金)の二泊三日で2年生修学旅行が行われました。一日目は奈良の「薬師寺」や「東大寺」の見学、二日目は「京都市内班別自主行動」、三日目は「天龍寺の座禅体験」や「嵐山散策」という日程でした。教科書で見た様々な文化財に興奮したり、迷いながらも班の仲間達と協力しながら京都市内を散策したり、緊張しながらも心を落ち着けて座禅に取り組んだり、様々な経験ができた三日間でした。二日目の夜には楽しいレクレーションで学年全体が盛り上がりました。「自創」のスローガンのもと、修学旅行実行委員を中心にこれまで沢山の取組を行ってきましたが、自分たちで作り上げたすばらしい修学旅行になったと思います。3年生の卒業式を控え、いよいよ本当の意味での学校の中心となります。修学旅行での経験を活かして、新しい那珂川北中をつくる学年になってくれることを期待します。
令和6年度 1年生職場体験
2月19日(水)に、1年生の職場体験がありました。14の事業所に分かれ、それぞれの活動場所で実際の仕事を体験したり事業所の方にインタビューできたり、とても充実した1日となりました。今回の体験をもとに、働くことの意義や働くことを通して社会に貢献することの大切さなどが学べたと思います。ご協力いただいた事業所の皆様、ありがとうございました。