校長の話

晴動雨読の再開

校長 古澤 裕二

コロナ禍で、全国的にオンライン授業を行う自治体や学校も増えていますが、小中学校の発達段階にとってオンライン授業は補助的な役割しか果たし得ません。小・中学校においては、各教科における知識の伝達のみならず、様々な集団における教育活動を通して、社会性や自制心、人間関係能力等といった数値ではなかなか計れない非認知能力を向上させることもとても大切だからです。そこで、10月から緊急事態宣言の解除に伴い、感染防止の対策をしながらも、可能な限り通常の教育活動に戻していきたいと考えています。

さて、10月6日から「後期」が始まりますが、昨年度から取り組んでいた「晴動雨読」を再開させます。これは「晴耕雨読」という言葉をもじったもので、通常朝自習を行う時間帯に、晴天時には10分間の「運動」を、雨天時には20分間の「朝読書(英語の多読も)」を行う取組です。「朝読書」についてはこれまでも行っていたので、晴天時の「運動」が付け加わる形となります。朝の「運動」は保健体育科の授業としてカウントし、評価は走行距離や12月に開催する「北風走(持久走大会)」の結果をもとに行います。10分間の運動の中身は、グランドで行うランニングと体育館で行う補強運動(上体起こしや反復横跳び、メディスンボール投げ等)に分けられます。コロナ対策として、グランドや体育館が密にならないように1・2年生のみの実施とします。

このような早朝からの「運動」を取り入れる理由は2つあります。

1つ目の理由は、子どもの運動習慣の不足や体力・運動技能の低下です。よく言われることですが、現在50歳前後の皆さんが中学生だった頃の方が、今の中学生よりも遙かに体力が高いわけです。さらに、体力の二極化という問題が起こっています。運動する子は小さい頃から運動に親しみ、体力・運動技能をどんどん向上させる一方で、運動しない子は全くしないという傾向があります。今日、学校の授業以外は全く運動しないという子どもも珍しくありません。また、「運動しない」から「運動が苦手」、「運動が苦手」だから「運動が嫌い」、「運動が嫌い」だから「運動しない」という悪循環を起こしています。したがって、子どもの運動習慣を増やし、体力・運動技能を向上させ、運動を通して達成感や喜びを味わわせることは教育上喫緊の課題と思われます。ここ数年、子どもの体力は若干上昇傾向にあったのですが、コロナ禍で部活動や保健体育科の授業内容が制限される中、再び下降に向かっているのではないかと心配しているところです(※本校の新体力テストの結果をご参照ください。辛うじて前年度を上回っているという状況です。)

2つ目の理由は、「運動」が学力やメンタルヘルスの向上にも大きく影響しているからです。この点については、これまでも『脳を鍛えるには運動しかない』といった書籍の内容を紹介したことがあります。そのポイントは表のとおりでした。今回は別の角度から、「運動」の効果について述べたいと思います。

以前、学校通信でスマホ・携帯の悪影響について述べたとき、スウェーデンの精神科医が著した「スマホ脳」という本を紹介しました。この本の中にもスマホ・携帯の悪影響から身を守るためには、「運動」が効果的であることが具体的に書かれていました。その内容は次のとおりです。「運動は、集中力、短期記憶、長期記憶、創造力、知能など人間の認知能力の全ての分野でプラスの効果があることが、様々な研究で明らかになっている。しかもその効果はすぐに表れ、かつ持続する。学生に外国語の単語をヘッドホンの音声で覚えさせ、48時間後にテストを行った実験では、歩きながら学習したグループが、座って学習したグループより20%も多くの単語を覚えていた。運動と言っても、本格的なスポーツである必要はない。イスラエルの研究者たちが5千件に上る既存の研究結果を調査したところ、散歩を含むあらゆる種類の運動が知能に良い効果を与えることがわかった。わざわざジムに通わなくても、1駅分歩いたり、エレベーターの代わりに階段を使ったりする程度でもいい。6ヶ月間で最低52時間、週あたり2時間程度の運動で、十分な効果がある。」

「運動」が、体力・運動技能の向上だけでなく、なぜ学力やメンタルヘルスの向上にも効果があるのでしょうか。それは、人類の長い狩猟生活と関係しているようです。人類は狩猟生活を約1万年以上も続けていましたが、狩猟するときには獲物を倒すために最大限知恵を振り絞り、仲間とコミュニケーションを図り、獲物を追ってきた道なき道を記憶するといったように、体を動かしているときが頭を動かしている時であり、体を休めているときは頭も休めている状況だったからだそうです。そう言われてみれば、当時は現在のようにデスクワークなどで机にじっと座って頭だけを使うことなどなかったはずです。

3年生は、昨年度は12月まで「晴動雨読」の取組を行いましたが、今年度はコロナ対策のため実施しません。自分自身で考え、「運動」の効果をよく理解して、受験勉強の合間に適度な「運動」を取り入れてくれれば幸いです。是非、適度な「運動」を習慣づけてください。

○Tスコア(全国平均は「50」)は、学力偏差値と同様の見方です。Tスコアでは、すべての学年男女で全国平均を上回っており、昨年度より向上していました。また、今年度のAランク生徒数は161人でした。こちらも昨年度より向上していました。

○全国平均未満の項目に網掛けしています。「50m走」が課題です。

夏休み課題テストの結果を報告します

9月3日(金)に行われた、夏休み課題テストの結果をお知らせします。

1年生は(グラフ中■)です。4月の標準学力診断テストと比較での偏差値は「51」でしたが、今回のテストでは「54」と3ポイント上昇し、大きく成績を伸ばすことができました。中学生になり、サクセスノートや、各教科での課題の提出を一生懸命に取り組んだ成果だと思います。2年生(グラフ中◆)は「57」と4月と同じでした。3年生(グラフ中●)は「56」から「54」となり、4月と比べると残念ながら2ポイント成績が下がりました。他校の3年生も高校受験が近づき、必死に勉強し始めています。その中でも良い成績を収めるためには、さらに必死に頑張らねばならないと言うことです。3年生にとっては今が正念場です。9月30日と11月2日の学力診断テストでの頑張りを期待しています。

【夏休み課題テスト 本校平均点】( )内は県平均比 ※100点満点

1年生は英語が+13.6と良い結果を残しています。2年生は筑紫地区でも上位の成績を維持しています。3年生は英語で+21.4とすばらしい成績です。

ブロック演技を披露しました!

9月24日(金)5時間目「保健体育」の時間にブロック演技を実施しました。体育館で1ブロックずつ演技を行い、校長先生を始め、審査員の先生方に観ていただきました。

本来ならば3学年一緒の演技でしたが、ブロックリーダーを中心に3年生バージョンを創り上げ、短い練習時間で演技を完成させました。これまで体育祭の延期で、なかなか本番を迎えることができずに、モチべーションを保つのが難しかったと思います。困難な状況を乗り切り、各ブロック全力を出しきって演技をする姿はとても印象的でした。演技は録画し、給食時間に放送しました。併せて、バックボードも披露されました。結果発表は、10月1日(金)前期終業式の体育会表彰式で行われます。

【体育会実行委員長から】

「ブロック演技発表会を終えて」

体育会実行委員長の内野あかりです。何度も何度も延期になった体育会。内容を変えて3年生のブロックアピールだけとなりましたが無事終えることができました。延期になるたびに、悔しい気持ちや「どうして?!」「また!」とコロナへの怒りなど、色々な感情でいっぱいになりました。しかし、何度延期になっても再開すると一生懸命練習を頑張るみんなの姿や、短い時間でどう完成度を上げようか、と練習計画をたてるブロックリーダーの姿を見て、「こんな感情になっているのは自分だけじゃないんだ。みんな悔しさをバネに頑張っている。私も頑張ろう!」と自分を奮い立たせることができました。実際に演技を終えた後の達成感や感動、今までやってきたことは無駄じゃなかったと感じた瞬間を今でも覚えています。この体育会を乗り越えられた私たち那北はすごく強くなったと思います。また、一つになって学校生活を頑張りましょう。そして、どんな状況になっても私たちにチャンスを作ってくださった先生方、ついてきてくれたみんな、本当にありがとうございました。実行委員長として過ごした日々は私の宝物です。

学校からのお知らせ

【健康観察フォーム回答協力のお願い】

後期より、ご家庭での負担軽減と生徒の健康状態を確実に把握する目的で、オンラインでの健康観察を実施いたします。欠席の連絡においてもオンラインを活用することになります。スマホ、タブレットでの入力となり、QRコードを読み取らせると、回答ページが開き、必要事項を入力する方法となります。詳しくは本日別紙で、手順等を詳しく説明したプリントを配付しますのでご確認をお願いいたします。

【「晴動雨読」参加同意書の提出について】

晴動雨読の趣旨については、「校長先生の話」でご説明申し上げたとおりです。本日別紙で参加同意書を配付しています。必要事項をご記入の上、担任まで提出ください。

※今後のスケジュールについては、HPトップをご覧下さい。