「校則及び懲戒の必要性」

校長 古澤 裕二

今月行われた公立推薦入試では、昨年度に引き続き推薦者全員が合格内定となりました。それまで面接練習を徹底的に行った甲斐がありました。来月はいよいよ公立一般入試を迎えます。受験を終えた生徒は高校入学への準備を行い、まだ終わっていない生徒は最善を尽くしてほしいと思います。

さて、今月半ば、校則に関する大阪地裁の判決がニュースで報じられました。裁判の内容は、21歳の女性が高校時代に茶髪を黒く染めるよう繰り返し指導されたことに対して(生来は黒髪)、校則や頭髪指導の違法性を訴えたものです。判決は、「髪の染色や脱色を禁止した校則は学校の裁量(意思決定)の範囲内で、頭髪指導も違法とは言えない」というものでした。これまでも校則自体を否定する判決はありません。今回も、学校の裁量が幅広く認められてきた流れに沿った判決と言えます。

何かと話題になる「校則」問題ですが、最近では「校則がない公立中学校」も現れるようになりました。しかし、「校則」やそれに伴う「懲戒(ペナルティ)」自体は、学校秩序を維持するため、生徒の規範意識を高めるために大変重要なことだと考えます。それらの必要性について、アメリカの事例を紹介したいと思います。

1990年代のアメリカでは「ゼロ・トレランス」という政策によって、多くの荒廃した学校が立ち直りました。「ゼロ・トレランス」というのは「寛容ゼロ」という意味で、たとえば、遅刻なら三回、喧嘩なら一回起こしたら、オールタナティブ・スクールという反省を促す学校に送られます。いかなる言い訳も認めず、ルールを厳正に適用するこの政策によって、アメリカは急速に学校の秩序を回復させていきました。ワシントン州タコマにあるヘンリー・ホス高校の場合、生徒が武器による犯罪をくり返し、一年間のうち殺人が3件、喧嘩や傷害事件が195件起こりました。これに対して、翌年「ゼロ・トレランス」を導入したところ、即座に喧嘩が激減し、導入1年後には年間わずか傷害事件4件のみとなりました。このように学校の規律が回復すると、地域全体の治安も回復し、ついには生徒の学力も向上していきます。そのため、「ゼロ・トレランス」を導入する学校がアメリカ全土に拡大していくわけです。

アメリカでは、この「ゼロ・トレランス」の導入以前は、非行を繰り返す生徒の心にアプローチするカウンセリング的なやり方を行っていました。しかし、人の心の中身や変容は目には見えにくいものですし、成果は上がりませんでした。そこで、行動にアプローチするやり方へと転じたわけです。「ゼロ・トレランス」は、適切な行動には賞を与え、不適切な行動には罰を与えるという単純なやり方ですが、この単純な行動へのアプローチが人の規範意識を高め、よりよい行動へ導いていく有効な方法だったのです。

このやり方は、まさに「服装の乱れは心の乱れ」と言って生徒指導を行っていた昔の日本の教育のやり方そのものです。実は、アメリカは1970年代後半の日本をモデルにして「ゼロ・トレランス」を導入し、学校の秩序回復を達成したのでした。皮肉なことに、日本はアメリカ教育を後追いし、その後学校秩序が失われる時期を迎えることになります。

一方、「校則」や「懲戒」の具体的な中身については、「社会通念に照らして合理性があるか」など、時代の変化とともに定期的に見直す作業が必要でしょう。「ブラック校則」とよく揶揄されるのは、合理的な理由がない「校則」や「懲戒」に対するご批判でしょう。すべてに合理的な理由付けが必要とは思いませんが、多くの生徒が納得するような「校則」や「懲戒」であるべきだと考えます。

本校では、昨年度から「校則」や「懲戒」について、新生徒会役員と担当教員で協議の機会をもっています。今年度は、生徒会から防寒着の着脱場所の件で要望が出されたので認めています。また、生徒会が頑張っているお陰で、昨年度よりも随分規律正しい学校に変わってきました。また、そのことが学習面にもよい影響を与えています。それは全国学力・学習状況調査(本校3年生対象)の結果からも窺えます(下グラフ参照)。今後も生徒会と協力して、規律正しい秩序ある学校づくりや生徒の「規範意識」の向上に努めていきたいと思います。

1・2年総仕上げテストの結果

1年生は(グラフ中▲)、前回からさらに1ポイント偏差値を伸ばし、「偏差値59」を達成できました。2年生は(グラフ中●)、前回から2ポイント偏差値を伸ばし、「偏差値57」を達成できました。1・2年生ともに、筑紫地区23校の中でもトップレベルに位置しており、着実に学力を伸ばしています。

総仕上げテストは筑紫地区各中学校、テスト対策を万全にして臨むテストです。そのテストで、これだけの結果を残せたことは、すばらしいことだと思います。この一年間の学力向上の取組が、このように結果となったと考えます。しかし、これが終着点ではありません。これで油断をして日々の学習がおろそかになると、すぐに学力は下降線をたどっていきます。次は4月13日(火)の学力診断テストです。今回の結果を自信として、これからも毎日の着実な学習を行っていくことが大事です。

【偏差値の推移】

【平均点】( )内は県平均比 ※100点満点

2年生 「立志式」

2月13日(土)の3時間目に、立志式が行われました。「立志」とは志を立てることで、将来の目標を定めて、これを成し遂げようとすることです。今年からの取り組みで、2年生は立志作文を書きました。そして、各クラスで代表生徒を選出し、その生徒がみんなの前で作文を発表しました。残念ながらみんなの前で直接読む形ではなく、TV放送での発表になりましたが、どの生徒もしっかりと自分の夢や目標を伝えることができていました。代表生徒の発表の後は、教頭先生からの激励の言葉がありました。今回の立志式で立てた志を忘れずに、書いたことを実現できるように、これから頑張ってほしいと思います。

【2年1組 清水 桃香】

私は立志式を通して、自分の将来の夢についての作文を書いたり、他の人の夢を聞いたりして、自分の将来の夢を実現したいという気持ちを更に高めることができました。また、そのために、これから自分がしなくてはならないことをはっきりさせることができたと思います。この立志式で書いた作文の内容や、思いを忘れず、夢を実現させるために毎日頑張っていきたいです。

【2年3組 安武 佑月】

この立志式は、夢や目標に向かっての第一歩だと思いました。この立志式で、自分の夢や目標を考え、それを作文にして発表する。これをすることで自分がやるべきことがはっきりしました。次は一番大切な実行することです。行動することで目標を叶えたいです。

藤井菜々子選手 20km競歩で日本一に!

本校卒業生で東京オリンピック代表に内定している藤井菜々子選手が、2月21日に神戸市で行われた日本選手権20km競歩で優勝しました。藤井選手はすでにオリンピックには内定していますが、この種目で日本一になるのは始めてです。オリンピックが延期となり、コロナ禍期間中のトレーニングの難しいものがあったと思いましたが、確実にレベルアップしています。オリンピック出場だけでなく、上位入賞、さらにはメダルまでねらえるようにコンディションをあげています。今、日本陸上界で一番世界と戦えるのは「競歩」です。(リオデジャネイロオリンピックでは男子が銀メダルと獲得しています)十分メダルが期待できます。無事に東京オリンピックが開催され、藤井選手が表彰台に立てるように、みんなで藤井菜々子選手を応援していきましょう!(新聞記事:2月22日西日本スポーツ新聞)

ネットゲームについての注意喚起について

以前にもネットゲームに関する注意喚起をお願いしていましたが、市校園長会等で以下のような報告がありましたのでご家庭でも十分ご注意ください。

  1. ネットゲーム中に対戦相手に暴言を吐いたり差別的な言葉を使ったりしている結果、学校でも同様の発言をする事例が発生しています。
  2. ネットゲームの大会に参加して賞金40万円を獲得し、周りの生徒に派手におごるという事例が発生しています。

3・4月の主な行事 学校からのお知らせ

※3・4月の主な行事は、HPトップページでご確認下さい。

※令和2年度卒業式・令和3年度入学式について

新型コロナ感染症拡大の防止のため、卒業式及び入学式の実施にあたっては、那珂川市教育委員会からの通知により、下記のとおり、時間の短縮、参加者の制限等の措置をとらせていただきます。何卒ご理解・ご協力の程よろしくお願いいたします(卒業式の詳細につきましては、すでに3年生の保護者宛に通知しています)。

  • 参加者の数を最小限とし規模を縮小、時間短縮で実施
  • 来賓は那珂川市教育委員会、学校運営協議会、PTAから1名ずつとする。
  • 保護者の参加は、2名までとする。